水木しげるワールドの進化/妖怪で町おこしの集大成

境港市観光協会会長 桝田 知身

 7月14日、13億5千万円を投じた「水木しげるロードリニューアル」の完成式が行われた。1993年7月にロードが誕生して以来25年目、中村市長の英断のたまものであり、慶賀に堪えない。リニューアルの内容は、妖怪を全面的にゾーン分けし、再配置したこと、車道を一方通行にしたこと、夜間照明に注力したことなどである。

 この節目に、水木ワールドの「進化」について総括し、一瞥(いちべつ)してみたい。

 まず、基本的に、水木しげるロードに水木先生の妖怪ブロンズ像を設置するアイデアが秀逸である。最初は、ロードの住民のほとんどが反対していたというところが、またなんとも「おもしろい」。

 それが、現在では、合計で177体にまで「増殖」し、そのうち58体がスポンサーによるブロンズ像であり、実に3分の1を占めるまでになっている。妖怪神社、水木しげる記念館の建立も貢献度が大きい。

 JR境線には、6台の妖怪列車(鬼太郎、砂かけばばあ、ねこ娘、ねずみ男、目玉おやじ、こなきじじい)が走っているし、各16駅はそれぞれ妖怪の愛称を持っている。

 境港-隠岐間のフェリーには、船側に大きな鬼太郎の絵が描かれている。また、米子空港は「米子鬼太郎空港」という世界で唯一の妖怪愛称名が付けられている。いわば、陸・海・空の「三軍」を制覇しているとでも言おうか。

 そのほか、「妖怪検定」「妖怪川柳」「下駄(げた)とばし大会」「下駄積大会」など全国からの応募によるイベントもにぎわいの下支えをしてくれている。

 そして、JR境港駅前の「みなとさかい交流館」の外壁には縦7・5メートル、横20・25メートルの妖怪巨大壁画が設置されている。そのほか、境港海陸運送の「妖怪倉庫」の壁画も人目を引く。さらに、駅前には日本唯一の「鬼太郎交番」がある。

 音楽でいえば、「みなと祭」の前夜祭「境港妖怪ジャズフェスティバル」も立ち上げられて17年目になる。日野皓正作曲の「妖怪ブルース」はカラオケにも採用されている。石田光輝作曲の「鬼太郎音頭」も健在である。

 それに、何と言っても「ゲゲゲの鬼太郎」の映画公開やTV放映も影響が大きい。特にNHK朝の連続TVドラマ「ゲゲゲの女房」の大ヒットは圧巻であった。その年の水木ロード入り込み客数372万人は境港市人口の100倍を超えており、中国地方観光地ナンバーワンの数字である。

 このたびの大リニューアルは、これまで、複合的、重層的に取り組んできた水木ワールドのさまざまな町おこしの集大成ともいうべき画期的なものである。

 いずれにしても、「水木ワールド」の観光素材としての素晴らしさはなにものにも代え難い。奥深く、しかも、ユニークである。「すべての人にやさしく、誰もが楽しめる道(中村市長)」を皆さんに「楽しんで」いただきたい。特に事業費約2億5千万円をかけた夜間照明の演出は今回の目玉商品であり、夜のにぎわいを取り戻す絶好の企画になっている。

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 ますだ・ともみ 1941年、広島県呉市生まれ。北海道大法学部卒。63年、日本通運に入社。95年から2002年まで系列会社の境港海陸運送社長。元境港商工会議所副会頭、元水木しげる記念館館長。04年5月から現職。

2018年8月19日 無断転載禁止