勇気与えた金足農高

 「東北勢に初の優勝旗か」でいつになく関心が高まったきのうの100回目の高校野球選手権決勝戦。秋田の金足農が頂点に立てば、実質的な日本海側初の優勝にもなる。春夏連覇を果たした大阪桐蔭に屈して悲願は持ち越したが、関係地域に勇気を与える戦いぶりだった▼夏の甲子園の優勝回数を都道府県別に見ると、北の青森から始まって本州の日本海側は優勝ゼロの県が並ぶ。途中で京都と兵庫、最後の山口は優勝経験があるものの、優勝校の所在地は人口が集積する京都市内や瀬戸内海側にある▼春・夏の甲子園の通算勝利数では、トップは大阪。甲子園の地元・兵庫が続き、東京を加えた3都府県が300勝以上。経済力と高校野球レベルは一定の相関関係があるようで、逆に100勝未満はやはり日本海側の県が目立つ。40勝の島根、57勝の鳥取もこの層だ▼野球王国のエリート集団と雑草軍団の決勝はまさに、これまでの「強弱対決」の構図。金足農の吉田輝星投手は酷暑の中、地方大会から一人で守ってきたマウンドを途中で降りた。最後に力尽きたとはいえ、誰も責められないだろう▼秋田は島根を上回る高齢化率で、人口減少率も全国トップ。そんな中で2011年から県予算を使った高校野球強化プロジェクトに取り組んだ。活力のより所を模索する中で快進撃を続けたのだから、地元の喜びようが際立つのだろう▼新たに始まる高校野球100年。球界地図は変わらないのか。山陰勢も秋田に続き、塗り替えるべく挑んでほしい。(泰)

2018年8月22日 無断転載禁止