中国の台湾孤立化戦略/対話を通じて融和図れ

 中国は、台湾が外交関係を持つ国を次々と奪い取り、世界の航空会社にウェブサイトで台湾を国として表記しないように要求、世界保健機関(WHO)から締め出すなど強引な台湾孤立化戦略を進めている。

 中国は「台湾は不可分の領土」とする「一つの中国」の原則を主張しているが、台湾の蔡英文総統は認めていない。台湾独立につながりかねないとの警戒感から蔡政権への圧力を強めているようだ。

 しかし、台湾住民の大部分は中台統一を望んでいない。中国の露骨な手法は台湾の人々の中国離れを加速させるだろう。中国は台湾住民の意思を尊重し、対話を通じて中台の融和を図るべきだ。

 中国は2016年5月、対中独立志向の民主進歩党(民進党)の蔡政権が発足して以来、パナマやブルキナファソなど4カ国と国交を結び、台湾が外交関係を持つ国を18カ国に減らした。米国に次ぐ世界第2の経済大国となった中国は経済力をてこに陣取り合戦に力を入れ、台湾は「金銭外交」と強く反発している。

 親中派の馬英九前政権(国民党)は「一つの中国」で一致したとされる中台間の1992年合意を認め、外交停戦に持ち込んでいた。中国は92年合意を認めない蔡政権には容赦ない。馬政権下の2009~16年、台湾はWHO総会へのオブザーバー参加を認められたが、昨年と今年は中国側の妨害により、総会から締め出された。

 今年4月、中国の民用航空局は外国の航空会社44社に対し、ウェブサイトで「中国台湾」と表記するよう求めた。日本政府は「特定の政治的立場の押し付け」と中国政府に懸念を伝達し、米政府も抗議したが、日米の5社を含む多数の航空会社が何らかの表記の修正を余儀なくされた。

 来年8月に台湾台中市で開催予定だった第1回東アジア・ユース大会は中国の妨害により、中止に追い込まれた。中国政府は「台湾の独立派」が従来の「中華台北」ではなく「台湾」の名称で東京五輪に参加するよう住民投票にかける運動を起こしているとして、圧力を正当化した。

 中国軍は台湾対岸の福建省などで海上実弾演習を実施し、台湾周辺で爆撃機や海軍艦隊を運用する。こうした振る舞いは南シナ海の軍事拠点化などと相まって、国際社会が中国の覇権主義を疑う原因となっている。住民の健康に影響しかねないWHO締め出しや、青年スポーツ大会の中止は台湾や国際社会の支持を得られるものではない。

 トランプ米政権は3月、台湾との高官交流を促進する法律を成立させた。米上院は8月初め、武器供与や訓練支援の拡大など台湾との軍事関係強化を盛り込んだ国防権限法案を可決した。米台は結束を強めるが、中国との力の対決は地域の不安定化を招く恐れもある。

 一方、中国は2月、台湾企業への減税や台湾人の就業で優遇策を進める政策を発表した。経済の一体化が進む中、台湾の企業や住民の取り込みを図るが、台湾では懐柔策への反発も根強い。

 6月の世論調査によると、中台間の「現状維持」が57.1%、「独立」は20.3%、「統一」は15.5%。中国は台湾の世論を理解し、政策を練り直すべきだ。

2018年8月22日 無断転載禁止