教員人事と内緒話

 松江市が島根県に求めている小中学校教職員の人事権移譲について検討する会議の初回は、非公開となった。事柄の性格上、人事の機微に触れることも予想されるため、というのが理由らしい。検討会議を構成する県内市町村教育長らの一致した意見だったという▼人事の機微とは、議論の中で特定の教職員名が分かってしまうことを含む。会議を公開すれば言いたいことも言えず、建前やきれい事に議論が流れてしまうとの懸念もあるのだろう▼しかし問題を冷静に整理すれば、個人名が特定されるようなことは考えにくい。教員の採用や人事異動などの権限を、県と松江市でどう分け合うかという枠組みの見直しが議題であり、あの先生がどうの、この先生がこうのと個人に関するやりとりが入り込む余地はほとんどない▼事実、初回の検討会議小委員会では個人情報に関わるような話は出なかったという。今後公開とするかどうかは各市町村教育長の意向を踏まえて決める▼公開した場合、悩ましいのが零細町村に話が及んだ場合と教育長らは気をもむ。県内には小中学校が各1校しかない町村もあり、議論の成り行き次第で担当教科やポストなどを通じて個人が特定されかねないという▼だから非公開とすれば、前例となって非公開の範囲が拡大解釈されかねない。松江市と他の多くの市町村の意見が鋭く対立する問題だからこそ、公開することで解決の道筋も見えてくるのではないか。公教育を支える教員人事の在り方は内緒話では済まない。(前)

2018年8月23日 無断転載禁止