レッツ連歌(下房桃菴)・8月23日付

(挿絵・Azu)
◎我慢強いと皆に褒められ

捨てるのも無駄にするのも大嫌い(浜田)佐々木わこ

◎散歩するにもスーツ着込んで

プードルのオツに済ました後ろ行く

               (飯南)塩田美代子

校長の気分抜けずに退職し   (松江)澄川 克治

近所には解雇されたの隠してる (出雲)櫛井 伸幸

◎こんな野良着じゃ出かけられない

鶴瓶だよ早く早くと急かされて (浜田)松井 鏡子

電線の上でカラスが笑ってる  (米子)板垣スエ子

どこからか魔法使いが現れて  (益田)黒田ひかり

◎たのしくわかる量子力学

見えぬもの見えるがごとく語る君(出雲)栗田  枝

◎あいつが悪いわけじゃないのに

ごめんなと言えず一生悩みぬき (浜田)勇 之 祐

◎トキの子四羽空へはばたき

水田に養殖ドジョウ放流し   (松江)持田 高行

◎静まり返った午後の教室

おひるねの時間高校にもできて (大田)塩毛 千介

◎今日もボウズでスーパーの鯛

店長は同級生で無理がきき   (江津)花田 美昭

船頭に造らせたよとラップ取り (益田)可部 章二

◎嫁いだ娘里帰りして

ミケちゃんもおいで一緒に寝ましょうネ

               (米子)板垣スエ子

冷蔵庫中はスッカラカンとなり (安来)根来 正幸

遠慮なく畑の野菜採りまくり  (江津)花田 美昭

◎通天閣に今日も灯がつく

モツ焼きのにおいに曲がる帰り道(益田)石田 三章

◎週に一度は散髪に行く

顔なでる柔らかい手の心地よさ (出雲)行長 好友

丸刈りのボクはほんとに僧侶です(大田)塩毛 千介

碁敵が申し合わせたようにいて (益田)吉川 洋子

◎オレオレ詐欺に騙されたフリ

人が好いように思わす出雲弁 (奥出雲)松田多美子

受話器置きとたんに足が震えだし(益田)石川アキオ

◎非売とあればなお欲しくなる

評判の掛け軸の絵は抜け雀   (松江)森  笑子

華やかに尾をなびかせて大金魚 (松江)森廣 典子

           ◇

 今年の夏の甲子園の京都府予選では、真昼の時間帯を避けて、異例のナイター試合が行われたそうです。いわば「おひるね」の時間ができた、ということでしょうか。千介さんの句、やや打越(うちこし)ぎみではあるけれど、この夏の異常な猛暑を、うまく記録に留めていただきました。

 浪速の象徴通天閣のある一帯は、「新世界」と呼ばれる歓楽街で、その一角に、かの有名な「ジャンジャン横丁」もあります。モツ焼きの強烈な臭いがして、私の大好きな街でもありました。

 今はあまり見かけなくなりましたが、かつては床屋に碁盤や将棋盤は、たいがい置いてあったものです。順番を待つ間、客どうしが勝負を楽しんだのですね。中には、そのほうが目当てで床屋に来る人も、きっとあったに違いありません。いわゆる「浮世床」の世界で。

 ついでに言えば、江戸時代には、「床屋俳諧」ということばもありました。要は「レッツ」みたいなことを、床屋でワイワイやってたわけで。素人の遊びということでバカにされたものですが、素人であれ、遊びであれ、この世界は、それほど庶民に親しまれていたのです。

 明治150年の負債の大きさを、今さらながら痛感いたします。

           ◇

 次はまた、今日の入選句を前句に選んで、それに短句を付けてください。七七の下(しも)七が、4・3と切れないよう、ご注意のほど!

               (島根大名誉教授)

2018年8月23日 無断転載禁止

こども新聞