全問正解で有給チャンス?

 「全問正解で有給チャンス」。飲料の自動販売機事業大手「ジャパンビバレッジ東京」の支店長がこんなメールを部下に送ったことが物議を醸している。15駅の売り上げ順を問うクイズに正解すれば、有給休暇取得を認める内容▼正解して有給の日数や給与が増えるなら、うれしいだろう。だが、そもそも有給取得は労働者の当然の権利。この支店長は「不正回答は永久追放します。まずは降格」とのメールも送っていたという。もはや脅迫だ▼正解者はおらず、支店長はその後「残念ながら全員はずれでした。よかった。よかった」とメールした。人手不足が深刻化する社会。有給を取られると、仕事が回らないとの不安があったのかもしれないが、開いた口がふさがらない▼そんな愚行とは対照的なニュースがある。金融庁が銀行法の規制を緩和し、16日から、平日でも銀行の窓口業務を休みにできるようにした。人口減少の影響で経営環境が悪化する地方銀行などに柔軟な店舗の運営を認めた▼これで隣接する二つの店舗で曜日をずらして営業するなど、効率的な人員配置が可能になった。顧客の利便性は低下しそうだが、山陰地方では規制緩和を活用し、廃止した店舗を、営業日を限定した上で復活させようと検討している金融機関もある▼限られた人員を効率よく配置して生かす働き方改革は、地銀に限らず企業の喫緊の課題。冒頭の支店長も部下にクイズを出すのなら「有給を取りつつ、業務が回る方法は何か」と問い掛ければよかったのに。(健)

2018年8月24日 無断転載禁止