ふくおかFG、十八銀統合/地銀改革を促す承認だ

 同一県内での融資シェアが高すぎるとして公正取引委員会による審査が長引いていた、ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と長崎県を地盤とする十八銀行の経営統合が承認された。

 コスト削減などでの効率的な体制を目指す経営統合は、地域金融機関にとって有力な生き残り策だ。独占禁止法をクリアするシェアについて一定の目安が示された今回の審査基準は、経営改革に向け、多くの地銀、第二地銀などを勇気づけることになろう。

 両社は承認に向け粘り強く公取委と協議を続け、これを金融庁が後押し。公取委は独禁法運用に当たって、金融業の特殊性や地域の実情を加味した判断に踏み切った。

 両社は2019年4月に統合、十八銀はFFG傘下の親和銀行(長崎県佐世保市)と合併し、新体制が始動する。人口減少や低金利が経営を圧迫する中、同一県内で複数の金融機関が貸出金利の引き下げ競争を続け体力をすり減らすケースは多い。十八銀と親和銀の合併は、統合のモデルケースとして経営の消長が各地の地銀、金融、独禁当局などから注目を集めるだろう。

 経営陣には、難産だった今回の統合の意味を自覚し緊張感を持って運営に当たってほしい。統合後は貸出金利の状況を監視する対策を実施するとしているが、有名無実にならないように現場の状況を上層部が確実に把握する体制を求めたい。県内市場のシェアの高さを背景に、顧客に不利な取引を強要するような行為は、あってはならない。

 横浜銀行と東日本銀行による地銀統合の成功例とされたコンコルディア・フィナンシャルグループ(FG)で、東日本銀の行員が、融資先から根拠のない手数料を取るなどしていた不祥事が最近、明らかになっている。他山の石としたい。

 16年にFFGなどが統合に基本合意して以降、審査が2年以上に及んだのは、独禁法に基づき、高すぎる融資シェアを問題視する公取委と、地銀の経営てこ入れのためとして現実的な判断を求めた金融庁が対立し、協議が平行線をたどったためだ。

 ライバルが存在せず市場を独占すれば、消費者は価格が高くても、その商品を買うしかなく、企業は圧倒的に優位になる。消費者の利益を守るために、適正な競争環境を整え、こうした事態を防ぐのが独禁法の趣旨だ。

 従来の計画では統合行は長崎県内の中小企業向け融資のシェアは7割になる見通しだった。公取委はシェア上昇で貸出金利が上がり顧客が不利益を被ると考えた。これに対し金融庁は、金利はシェア上昇で自動的に上がることはなく、他県地盤の金融機関からの「越境融資」も増える中、県内シェアのみに基づく判断は妥当性を欠くと反論した。

 こうした中で両者は、統合行が約1千億円の貸出債権を他の金融機関に譲渡して一定のシェア低減を図ることで折り合った。従来の基準からするとまだシェアは高いが、地域金融の苦境や地域経済への影響を考慮した。

 政府は地域に不可欠なサービスの確保に向け競争政策見直しに着手。地銀、バス会社などを対象とし年度内に結論を得るという。高度成長が望めない時代に合わせたルールの見直しは急務だ。

2018年8月25日 無断転載禁止