女子ログ あなたの思い出

 スマホで撮った写真はアプリを使って自動的にバックアップするように設定している。だから、スマホを紛失しても大丈夫。撮りためた娘の写真はデータとしてクラウドに保存されている。

 ある日、このアプリから「あなたの思い出」という件名の通知が届いた。娘が生まれてから今までの画像や動画が音楽とともにミニドキュメンタリーのように編集されていた。

 3年間の子育てを凝縮したような内容。一瞬心が動きそうになったが、ちょっと待て。アプリの人工知能(AI)が作った映像に、3年間を語らせてなるものか。急に腹が立った。家族の大切な時間を切り貼りする資格は誰にもない。これはIT時代の暴力ではないかと感じた。

 私は「アートの島」と呼ばれる直島に住んでいる。島にある作品を見に、美術ファンが巡礼のごとく訪れていたが、最近はインスタ映えを求める人々がスマホを片手に押し寄せる。撮影に夢中な人々を見ると「もったいない」と思う。本物のアートが目の前にあるのに、スクリーンを見ているなんて。

 でも、もしかしたら、私も娘を撮影することに夢中で、今ここにある時間に向き合えていないのかも。後で誰かに操られてしまうデータを残すよりも、その一瞬を大切に。これからは娘の成長を自分の目に焼き付けたい。

 (雲南市出身、香川県直島町在住・ゆかりんご)

2018年8月25日 無断転載禁止