地方テーマの総裁選に

 「同性婚についてお考えを」。石破茂氏が3度目の自民党総裁選出馬を正式表明した記者会見で、100人を超す報道陣から最初に出た質問は突拍子がなかった。周囲が「なぜ今」と言いたげな空気に包まれる中、石破氏だけはいつも通り丁寧に持論を述べ始めた▼真摯(しんし)な政治家だと取材のたびに感じる。党幹事長や閣僚を歴任した大物だが、誰のどんな質問でも必ず相手の目を見て独特のゆったりとした口調で答え、むげにあしらったりはしない▼その石破氏が悲願とする総裁の座。先に出馬表明し、永田町は一気に総裁選モードになった。安倍晋三首相が国会議員の支持を固めて、3選をたぐり寄せつつある一方、竹下亘総務会長や竹下派参院が石破氏支持に回り情勢は揺れる。態度を明らかにしていない小泉進次郎氏の動向も注目だ▼勝敗はなによりの関心事だが、6年ぶりの選挙戦で国の将来に向けた活発な政策論争を聞きたい。石破氏は各地の遊説以外にもテーマ別に公開討論の場を設けて、真っ向勝負を仕掛けようと息巻く▼関心があるのは、深刻な地方の人口減少問題の処方箋。「誰より地方を歩いてきた」と自負し、地方創生が持論の石破氏が党員票で巻き返す鍵もそこにあるだろう▼人口流出に歯止めをかけなければ、地方は消滅しかねない。国の今後を左右するテーマだが、その危機感を都会地とは一向に共有できないでいる。総裁の座を争う2人の白熱した討論が、地方の在り方に向き合う国民的議論のきっかけになってほしい。(築)

2018年8月26日 無断転載禁止