民間主導の遺跡活用

 小高い丘陵地から見下ろす美保湾、弓ケ浜半島と、背後に広がる島根半島。米子市と鳥取県大山町にまたがる国史跡・妻木晩田遺跡からの眺めは、いつ見ても気持ちがいい▼全国最大規模の弥生集落跡が発掘で確認されてから20年以上たつ。景観の素晴らしさに、つい勘違いしてしまうが、弥生人も目にしていたのかといえば、さにあらず。出雲国風土記に記載されている通り、古代の弓ケ浜は半島ではなく細長い島。手前の淀江平野は大きな潟湖だった▼この遺跡の実像や魅力を正しく広めるのが「むきばんだ応援団」。メンバーはゴルフ場開発予定地から出た遺跡の保護を訴えた市民や研究者たち。保存が決まると活用に向けてまさに「応援団」となった▼保存運動のエネルギーをそのまま活用に転化させたかのように、一線級の研究者による市民講座や見学会を開催。その実績が評価され、優れた地域活動を顕彰するサントリー地域文化賞を受賞することになった▼支援の輪が大きいのも応援団の強みだ。代表格が永六輔さん。生前、ちゃめっ気たっぷりな口調で全国各地にPR。三内丸山遺跡(青森県)、吉野ケ里遺跡(佐賀県)とともに「日本三大遺跡と名乗っちゃいなさい」と関係者をけしかけたという。市民講座の受講者は現場でボランティアガイドを務め、裾野は少しずつ広がっていった▼遺跡をうまく活用して魅力を広め、次の世代に引き継ぐのは非常に大切なこと。民間主導でウイングを広げ続ける妻木晩田にまた行きたくなった。(示)

2018年8月27日 無断転載禁止