大田・志学中卒業生 錦織さん作曲の歌 地区の魅力発信、復興に

歌のテーマにした大田市三瓶町志学地区を散策し、思いを語る錦織吏一さん
 4月の地震で大きな被害を受けた島根県大田市三瓶町志学地区で、地元の志学中学校を今春卒業した高校生の錦織吏一さん(15)が地区への愛着を込めて作詞・作曲した歌を、魅力発信や復興に生かす動きが進んでいる。豊かな自然や景観を歌詞に盛り込んだ歌で、被災した地域を勇気付けられると考えたと市民有志らが録音・編集。既に動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」で公開し、イベント時のBGMとしての活用も検討している。

 埼玉県の高校に進学した錦織さんは中学生の時、志学中学校周辺の地域について学ぶ総合学習の一環で、地元の風景や歴史を歌で表現することになった。小学生の時に始めたギターを使い、手探りで曲と歌詞を仕上げた。

 タイトルは「いつも出会える風景」。桜や雲海、温泉街を彩る風鈴、雪灯籠など、なじみの深い四季折々の風景や恒例行事を優しく語り掛けるように歌い上げる曲で、2月に完成した。家族らが制作記念として、錦織さんの弾き語りを録音していた。

 その直後、最大震度5強の地震が発生。志学地区も旅館や飲食店が被災し、休業を余儀なくされるなど、錦織さんが「瞳閉じたならいつも出会える」と歌った風景は様変わりした。

 しかし、錦織さんの家族や地元で音楽活動をしている市民有志らが、歌を復興の象徴として活用できると考えた。音源を編集し直し、被災前に撮影していた写真を使って動画を作成。映像編集は大田市の地域おこし協力隊員が担当した。

 YouTubeで8月上旬に公開。三瓶山麓のレストハウス「山の駅さんべ」店内ではBGMとして使用中で、三瓶地区でのイベント開催時などに流すことも検討している。市民グループ「たまりば」の三谷和弘世話人は「志学ゆかりの若者が地元を思い、作った価値のある曲。どう活用するかを今後考えていきたい」と話す。

 夏休みに帰郷し、一変した志学地区を目にして胸を痛めた錦織さん。「被災した人たちが、少しでも元気になってくれたらうれしい」と願いを込める。

2018年8月27日 無断転載禁止