感動ポルノ

 感動ポルノという言葉がある。露骨に興奮を煽(あお)るポルノを引用しながら、障害者らが努力して困難を克服する姿を過剰に演出し、感動を押し付けるようなことを指す▼毎年夏の恒例となっている日本テレビの大型チャリティー番組「24時間テレビ 愛は地球を救う」。人気タレントらによるバラエティーショーに交え、障害者らを登場させて困難に立ち向かう姿を感動的に伝える▼しかし感動を呼ぶことを制作者側が意図するあまり、やり過ぎと感じる場面も少なくない。番組を見た障害者の中には、見せ物にされているようで不快に感じる人も多いという▼そうした障害者らの声を代弁するように、今週日曜日に放映されたNHKEテレの障害者のためのバラエティー情報番組「バリバラ」のタイトルは「障害者はテレビを救う」▼「愛は地球を救う」を皮肉ったとみられ、障害者は番組に利用されているのではないかと暗喩(あんゆ)を通じたメッセージが伝わってきた。障害者を主役に仕立てながら健常者目線で作られていると抗議のようにも映る。手話は付かず字幕もスピードが速すぎて付いて行けないなど障害者らへの配慮が薄いと不満の声も▼夏祭りの乗りで続く長寿チャリティー番組に対する裏番組からの異議申し立てとみられないこともない。しかし「愛は…」が長年積み上げてきた寄付金による社会貢献は、感動ポルノによって支えられてきた側面もある。どこかの役所の障害者雇用の水増しに比べれば、いろいろ言われながらも役に立つ。(前)

2018年8月30日 無断転載禁止