レッツ連歌スペシャル(要木木純)・8月30日付

(挿絵・麦倉うさぎ)
 今回の前句は、

 美少女の正体見たりおじいさん

でした。最近よく、インターネット上の動画で、美少女のアニメキャラクターがライブ(生放送)で活躍しているのを見かけますが、「中の人」にはいい年をした、おっさんもいるそうですな。声をボイスチェンジャーで女声に変えて、コンピューターグラフィックスにも大変な労力をかけて、美少女に変身。いやはや、男というものはいくつになっても変身願望があるもので。

ごっこ遊びが今も続いて    (益田)可部 章二

 世も末という感じですが、土佐日記や歌舞伎のように、昔から、読者、観衆も、先刻承知の上で、女性を演ずる男性を見て楽しんでいたのですから、これは伝統文化の一変態と考えるべきかも。それほど費用もかからないみたいだし、私も…いやいやいや。実践に走ってはいけない。あくまでも傍観者として、連歌を作って楽しむことにしましょう。

石見神楽は黒塚がよし     (浜田)勇 之 祐

バブリーダンスも気分ノリノリ (江津)江藤  清

 演ずる楽しみというものはありますね。

 前句は、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」をもとにしているので、おじいさんが美少女の正体だということになりますが、「美少女の正体をおじいさんが見抜いた」というように解釈して付けてもらってもかまいません。

あいづちも打つ介護ロボット  (松江)岩田 正之

九十過ぎても確かな嗅覚    (浜田)玉田 秀子

しっぽをふって踊るアイドル  (松江)田中 堂太

可愛いしっぽをちょっとのぞかせ(松江)持田 高行

 以下の句は、奥さんに対してひどい言いようですが、長年の連れ合いに対する愛情が裏にはある(んですよね?)。

鬼も十八妻も昔は       (安来)根来 正幸

遠い昔のバアさんらしい    (美郷)吉田 重美

入れ歯落としたバアさんの顔  (松江)本田  章

 「変身」ということで、おとぎ話やファンタジーを付けるのもぴったりなようで。 

機織る音に我慢できずに    (松江)澄川 高子

今は昔と前置きをして     (江津)花田 美昭

夜空見上げて泣くかぐや姫   (出雲)栗田  枝

竜宮城に時を忘れて      (出雲)岩本ひろこ

かんざし残し飛び立った鶴   (益田)石川アキオ

若返りの水飲み過ぎた婆(ばあ)    (美郷)芦矢 敦子

謎を残して黄泉(よみ)へ旅立つ    (松江)澄川 克治

 美少女の無作法に幻滅。これじゃあ、おっさんと同じじゃないか。

歩道の隅にガムを吐き捨て

           (東京・八王子)藤江  正

煙草プカプカ酒はガンガン   (松江)桑谷  夢

 以下は「その発想はなかった」と感動した句。口調もいいですね。

田舎芝居に少子化の波     (出雲)吾郷 寿海

水着の審査があってよかった

            (兵庫・明石)折田 小枝

あのお客さん黙らせてきて   (松江)山崎まるむ

話しかけたらニャーと逃げ出し (松江)水野貴美子

眉毛の濃さが少し気になり   (松江)須山 吉雄

出たな怪人二十面相      (益田)黒田ひかり

着ぐるみ全部脱いでいかんか  (江津)岡本美津子

隆々とした肩の筋肉      (益田)山藤 律子

畏れ多くて何も言えねえ    (浜田)勝田  艶

空き家の猫と長いつきあい   (雲南)錦織 博子

去年の案山子作り直して    (松江)花井 寛子

 今回は他にも力作が多数ありました。載せられなかった人、ごめんなさい。

                 (島根大教授)

 第20回酒折連歌賞(山梨県甲府市)のHPはこちら

2018年8月30日 無断転載禁止

こども新聞