アキのKEIルポ 錦織 歴史刻む継承者

全米“オープン化50周年”

 今年の全米オープンは、“オープン化50周年”の記念すべき大会である。それまではアマチュアのみ参戦を許されたグランドスラムが、プロに門戸を開いたのが1968年。男子の“オープン化初代全米優勝者”は、センターコートの名の由来でもあるアーサー・アッシュ。初のアフリカ系アメリカ人チャンピオンの誕生は、テニス新時代の幕開けにふさわしかった。

 錦織自身は過去の記録に頓着しないが、数字の符号で言うならば、今年は彼の全米デビュー10周年だ。10年前…、当時18歳のアジア人による、第4シード撃破の末の4回戦進出は、新しい何かの起こりを予感させるに十分だった。

 実際その後の錦織は、全米オープン決勝進出やランキングトップ5入りなど、数々の“アジア人初”を記録する。そして今では、彼を「ロールモデル」と仰ぎ見る韓国のチョン・ヒョンなどが、錦織の開いた扉を通り、後に続いた。

 歴史は先駆者が先鞭(せんべん)をつけ、後に続く者の連なりにより築かれる。その意味で錦織は間違いなく、50年前にアッシュが切り開いた道の継承者の一人だ。

 記念すべき今大会、錦織は多種多様な観客の声援を受け、初戦快勝のスタートを切った。その勝利をさらに次へとつなげた時、また新たな歴史が生まれる。

 錦織取材を続けるフリーライターの内田暁さんが、ニューヨークから報告する。

2018年8月30日 無断転載禁止