世事抄録 本の命をつなごう

 また公的な図書館での暴挙が発覚した。ある県立大学で貴重な絶版本や戦前の郷土本を多数含む、4万冊近い書籍が処分(大半は焼却)されたというのだ。

 冒頭に「また」と書いたのは、昨年も某市図書館で文化勲章を受章した高名な学者の遺蔵書約1万冊が廃棄されたという報道があったからだ。後者の場合は職員が「誤って、無断で」処分したのに対し、前者では組織として検討したうえで処分を実施したという。その後どちらの図書館も謝罪しているが、なぜこうした文化の破壊行為が繰り返されるのか。

 図書館では、所蔵書籍を処分することを「除籍」と呼ぶのだそうだが、ここで問いたいのは除籍そのものの是非ではない。図書館も施設である以上、物理的条件などによって本を除籍する必要はあるだろう。

 問題はその方法だ。なぜ本を物質として完全抹殺する必要があるのかということだ。図書館が不要と判断したとしても、この本の存在意義そのものを抹殺するべきではないと思う。例えば古書業界に流通させれば再び世間に旅立ち、最後には真に必要とされるところへ収まるだろうし、最近ではスキャンしてデータ保管する技術もある。なぜこうした方法で「本の命」をつなごうとしなかったのか。不可解であり怒りを覚える。

 皆さんはどう思われますかな?

 (島根県津和野町・柊)

2018年8月30日 無断転載禁止