防災の日/事前に確かめ早期避難を

 7月の西日本豪雨によって堤防が決壊したり、ダムが緊急放流したりして多くの住宅が浸水、山沿いの家は土砂災害に襲われた。数多くの危険が周りに潜んでいる。備えるべきは、南海トラフ巨大地震といった大規模な地震だけではない。

 西日本豪雨では「数十年に1度」の規模の大雨が予想される際に気象庁が出す「大雨特別警報」が11府県で発表された。近年は、同じ場所で強い雨が降り続く現象や台風の大型化が目立っており、背景には地球温暖化があると指摘されている。

 まさにこの夏の豪雨と猛暑は「異常気象の連鎖」と言えるだろう。水害が激甚化する時代に生きていることを肝に銘じ、自分で自分の身を守ることをまず考えてほしい。

 そのためには、早期の避難を徹底したい。西日本豪雨で自治体から避難の勧告・指示を受けた人数のピークは7月7日午前11時半の時点で、合わせて860万人を超えた。だが実際に避難所に行った人はその1%にも満たない。自治体の呼び掛けが避難行動に結び付いていないのが現実だ。その要因を分析し、対応策の検討を急ぐべきだ。

 避難するには、自分が直面する恐れのある危機について知ることが大前提となる。地元の市町村が公開するハザードマップを見て、浸水などのリスクや避難所の場所を確認してほしい。さらに国土交通省の「重ねるハザードマップ」を使って洪水、土砂災害、津波による被害の可能性を調べることも有効だ。

 その次に家族でどう備えるか決めておこう。地震と異なり、台風や大雨は事前に情報があり早期の避難は可能だ。自治体から避難の準備や勧告が発表されたとき、避難所に行くか安全な親族宅に移るかなど具体的な行動を話し合っておきたい。

 自治体や国の機関では、豪雨時の活動を時系列で示す「タイムライン」を定める例が増えた。例えば台風の来る5日前から情報収集を始め、2~3日前に避難計画の立案や自主避難の事前調整など準備に入り、その後、緊迫度に応じ自主避難の呼び掛け、避難情報の発表などを行う。

 自治体などがすべき行動を明確にすることで、スムーズな対応に役立つと期待される手法だ。残る課題は、行政側の出す避難勧告が住民にどう受け止められるかだ。

 事前に訓練をしていた地区では、避難が徹底され被害が少なかったという。「防災の日」には地震だけでなく、想定される洪水や土砂災害への対応を小学校や町内会、自主防災組織の単位で訓練するよう提案したい。

 その際には高齢者や子どもが避難できるかなども確認すべきだ。同時に避難勧告や指示をどのようなケースで出すのかについて行政側は十分に説明し、住民との危機感の共有を図ることで、万全の備えをしてほしい。

 東京都江東区など都東部5区は、最強の台風で荒川と江戸川が同時に氾濫すれば、海抜ゼロメートル地帯に住む約250万人が浸水の被害を受け、2週間以上も浸水が続くとの想定を発表した。

 超大型台風の襲来などの際は市町村ではなく、国や都道府県が避難の勧告や指示を出し、広域避難を主導する仕組みの導入も考えるべきだ。

2018年9月1日 無断転載禁止