「不登校のススメ」

 <黒板の似顔絵笑う炎暑かな>。ふと見た黒板に滑稽なタッチで描かれた似顔絵。学校生活の何げない日常を詠んだ俳句は、作者が壮絶ないじめから立ち直った高校生俳人であると知れば、五七五の17音に込められた意味に重みが増す▼大阪府岸和田市の小林凜さん、17歳。944グラムの超低出生体重児で生まれ、小学校入学後も成長が遅く、級友から「格好のオモチャにされた」という。中学でもいじめや教師の嫌がらせに遭い、不登校を選んだ▼幼稚園児の頃始めた俳句が「杖(つえ)」となり、今にも倒れそうな自分を支えた。俳句の役割を絶望の中で希望をつづった「アンネの日記のよう」と形容する小林さんは「不登校は決して恥ずべきではない。命を守る正当防衛」と説く▼夏休みが終わり、授業が再開した。勉強や級友との触れ合いに目を輝かす子どもがいる一方、登校できずに苦しむ子どもがいる。例年、夏休み明け前後は子どもの自殺が増える傾向にある▼小林さんの新著「生きる」は「生きるとは」の詩で始まる。国語の試験中に急に思いがあふれ、答案用紙の裏に書いた。「生きるとは『抗(あらが)う』ことである/(略)抗うこととは/思惑通りにならないことだ/だから/来るべき寿命が訪れるまで/抗え、壊せ、利用しろ/生きるために 生き抜くために」▼学校に行くか、死ぬかの二択ではない。抗えばいつか居場所は見つかる。周囲の大人もSOSへの感度を高め、個性を受け入れたい。価値観を押し付け、学校に戻すことがゴールではない。(玉)

2018年9月2日 無断転載禁止