書の面白さ

 米子市美術館で4日まで開かれている日本の書展米子展を見て、書の面白さに思いをはせた。地元の書家・森田尾山さんに「無理して読もうと思わず、線を追ってリズムをつかみ、絵画的な見方で白と黒の世界を楽しむといい」と言われ、肩肘張らず眺められた▼目を引いたのが前衛書。字にも見えるが字ではなく絵のような作品もあった。字にとらわれず筆跡を楽しませる書法だろう。「シャバダバ」などと意味のない言葉を歌い、声を楽しませる歌唱法・スキャットが頭に浮かび、腑(ふ)に落ちた▼篆刻(てんこく)では、篆書体という古い漢字の造形とともに、絵と組み合わせた作品にそそられた。漢字は象形文字として生まれたので、絵と相性がいいはず。古代エジプトの象形文字のように漢字に顔や目を付けても面白そうだ▼書を眺めながら、パソコンの画像加工ソフト普及に合わせて生まれたデジタル書道を思い起こした。色を付けたり模様を入れたりと書をデジタル加工する芸術で、出始めの頃には将来性を感じたが、さほど広まっていないように思う▼色彩があふれる生活の中で伝統的な書の方が新鮮な魅力があるのだろうか。デジタル書道は着色をワンポイントにとどめ、造形や濃淡の妙を強調する作品を目指すといいかもしれない▼もう一つ感じた書の魅力が筆の勢い、躍動感だ。実際、作品をなぞるように手を動かし、鑑賞する来場者がいた。字の造形美は手で書いてこそ深く味わえる。デジタル機器が普及した今、手書きの良さを見直したい。(志)

2018年9月4日 無断転載禁止