女子ログ 役割分担

 30年前の話である。福祉系の大学の保育科を卒業した私は、寮母として老人ホームで内定を頂いた。

 私は祖父母と暮らしたこともなく、近くに住んだこともなかったため、高齢者の方とのコミュニケーションを経験したことがなかったが、経験ないからこそ新鮮な気持ちでお仕事させてもらえるはずとやる気にみなぎっていた。

 まずは実習にと一日体験をさせてもらうことになった。穏やかな時間が流れる施設。私は声を掛けることもままならず、そこが「ついのすみか」になる方ばかりなのだと施設長さんから伺ったとたん涙があふれ出た。人生の先輩の尊厳を重んじ、最期の時間を一緒に過ごさせてもらうのかと思うと不安と緊張が襲ってきたのだ。

 その姿を見て施設長さんが、「人にはね、仕事の役割分担があるんだよ。いろいろな仕事はそうやって成り立っている。だからあなたは、ここでの仕事ではなく、子どもに関わる仕事を役割とするのがいいと思うよ」とお話してくださった。

 それからは子どもに関わる仕事をいろいろと経験した。その言葉は仕事以外にもつまずいた時や挫折感を味わった時など私の役割ではなかったのだと納得して前向きになれた。人生後半戦、役割はあるのかと少々不安だが、これからも私の役割を見つけていきたいと思う。

(浜田市・風田凪子)

2018年9月4日 無断転載禁止