アキのKEIルポ ジョコビッチ“目の敵” 強く警戒は錦織の栄誉

 準決勝が始まる前、顔なじみのセルビア人記者に「セルビア語の会見で、ジョコビッチはケイについて何か言っていた?」と尋ねてみた。

 テニス選手の会見は、通常英語と母国語の両方で行われる。そしてどの国の選手も、往々にして母国語で本音を口にするものだ。英語では常に錦織を「危険な選手」と評するジョコビッチが、果たして気心の知れた母国の記者たちの前では何と言っているか? それを知りたかった。

 果たして返ってきた答えは「ノバクはケイをものすごく警戒している」。

 今のランキングは関係ない。ケイのことは常にトップ10…いや、トップ5の選手と捉えている―。錦織戦を控え、ジョコビッチはそう語っていたという。

 ジョコビッチの錦織に対する警戒心の源泉は、恐らくは4年前のこの大会で敗れた経験に根ざしている。今回の対戦で勝利した後も、ジョコビッチは言った。

 「良い精神状態で試合に入ってこられた。僕は自分自身を、そしてケイを良く知っている。万全の準備をし、自分を制御し、そしてなすべきことを遂行した」

 ジョコビッチは今年、グランドスラムに加えて全マスターズ優勝もなした、史上最高の選手の一人である。その選手に、誤解を恐れず言うなら“目の敵”にされることは栄誉でもある。

 (フリーライター・内田暁)

 =おわり=

2018年9月10日 無断転載禁止