世事抄録 先入観

 「先入観」という言葉を辞書で調べると、「前もって作られた固定的な観念。それが自由な思考を妨げるときにいう」と解説されている。先般、2歳児が行方不明になる事件が起きた。無事に保護され事なきを得たのは本当に良かった。親御さんの喜びがいかばかりかは想像に難くない。しかし、なぜ3日間も大勢の大人が捜索しても見つからなかったのか。素朴に疑問を抱いたのでその要因について思いを巡らせてみた。

 推測ではあるが、捜索に当たった誰もがそんなはずはないとの思い、「先入観」で除外していたエリアにその子はいたのではないだろうか。スーパーボランティアと呼ばれ一躍ヒーローになったおじさんだけは、現場到着直後、自らの経験則に基づき、子供の気持ちになってあっという間に子供を発見してしまった。本当にすばらしい活躍であり、称賛したい。

 ところで、私が同時に思いをはせたのが、認知症の家族の思いもよらない行動であった。ある日突然、いつも置いてある場所から印鑑をどこかに移動させ、誰もその行方がつかめなくなった。一生懸命捜すが「先入観」があるのかどうしても見つからない。これも認知症のプロの手によれば、あっという間に見つかるのかもしれない。認知症の人の気持ちを知るためにも勉強会に参加しなくてはと思ったひとときでもあった。

 (雲南市・マツエもん)

2018年9月13日 無断転載禁止