第4部 識者に聞く (5)石破 茂氏(山陰新幹線を実現する国会議員の会会長)

鉄道に優位性 国費投入を/物流促進へ役割大きく

石破 茂氏
 山陰両県への新幹線整備実現に向け、何が必要なのか-。「山陰新幹線を実現する国会議員の会」の石破茂会長(61)=衆院鳥取1区=は「人口急減、高齢化に加え、物流改革が要請されている現代で、鉄道の優位性を見直すべきだ」と強調する。

 -かねて山陰への新幹線整備の必要性を主張している。

 「九州新幹線がよい例だ。博多-鹿児島間が3時間から2時間に短縮し、人の流れが劇的に変わった。輸送量が多く、信頼性の高い鉄道が人の移動、物流において担う役割は大きい。特に物流はこれまであまり注目されてこなかった。山陰新幹線(大阪-下関)は貨物の役割も担えるはずだ」

 -力を入れている地方創生にも寄与するのか。

 「在来線を切り捨ててもいいという意味では決してない。新幹線が欲しければ在来線は地元でやれ、というやり方には問題がある。JRも責任を負うべきだ。大事なのは費用便益比。新幹線開通で生まれる便益を最大化し、整備事業費を最小化する。そこを詰めた議論なしに、在来線は地元で運行しろというやり方は正しいと思わない。新幹線と在来線の両方を生かす発想が必要だ」

 -新幹線整備に充てる国の予算は少ない。

 「国鉄からJRに民営化されて以降、採算性が極度に重視され、公共インフラという観点は薄まってきている。3月末で廃止になった三江線のように、もうからないから切り捨てるというのは公共輸送機関として正しいとは思わない。より経営が厳しいところへの支援があるべきだ」

 「道路整備に充てる国費と比べると、鉄道はあまりに少ない。鉄道は必ずしも非効率ではないはずだ。道路を整備したが、もうからないから廃止だという話を聞いたことはない。人口が急激に減少し、高齢化が進む中、ドライバー不足もあって物流改革も求められている。その点で鉄道の優位性を見直し、国費投入の在り方も考えるべきだ」

 -山陰両県では新幹線整備に向けて賛否がある。

 「輸送量から見て、全てのレールが複線である必要はない。すれ違い箇所を作ったり、コンピューターを駆使したダイヤの組み方次第で、単線でも効率よく運行できる。さらに新しい新幹線のかたちもある。蓄電池を利用して走る新幹線が将来的に開発されるはずだ。そうすると(送電線が不要になり)トンネルも大きなものは必要なくなる。山陰新幹線や中国横断新幹線(伯備新幹線、松江-岡山)が10年後にできると思っている人は少ない。20年、30年後になるかもしれないが、今始めておかないと、いつになっても完成しない」

 「(2020年の東京五輪を控え)国内ではインバウンド対策に注目が集まっている。外国人客にとって山陰の美しい海岸線は大きな魅力になる。今後、人口が減るから必要ないという発想では駄目。海外から多くの人を呼び込むためにも新幹線は必要だ」=完=

 いしば・しげる 鳥取県八頭町出身。銀行員などを経て、1986年の衆院選で初当選し、11回連続当選。自民党幹事長のほか、防衛相、農相、地方創生担当相など閣僚を歴任した。鉄道にも詳しく、「乗り鉄」を自称している。

2018年10月10日 無断転載禁止