レッツ連歌(下房桃菴)・10月11日付

(挿絵・Azu)
 まずは嬉(うれ)しいお知らせ―。

 古くからの「レッツ」仲間で大ベテランの川津蛙(本名瀬戸武司)さんが、このたび『とび付句(つく)かえる』という句集をお出しになました。まことにおめでとうございます。

 「レッツ」の始まった平成六年から本三十年までのご自身の入選句に、奥さまの句を添えて、およそ三百句―。壮観です。

 巻頭の句が、

   くるくる変わる目つき口つき

  真夜中の記者会見の翌る朝

 日本新党を立ち上げた細川護熙元首相を詠んだ風刺句だといえば、この二十四年がいかに長い年月か、実感していただけることでしょう。

 私もいま単行本『レッツ!連歌』の第5集を準備中ですが、それとは違って、こうして個人の作品だけをまとめて読むと、また格別のおもしろさがあるものですね。連歌はフィクションとはいうものの、やはりおのずから作者の個性が現れるもの。クスリと笑ってしまう句も、数少なくはありません。ぜひ、皆さんもお楽しみください。

 ご希望のかたには、部数の許すかぎりお頒(わ)けしたいとおっしゃっています。詳しくは、〒690―0823松江市西川津町710―30 瀬戸武司さん宛、はがきにてお問い合わせください。

   ◇

 なんじゃかんじゃと言う亀太夫

耳栓をして国造は餅を出し   (益田)石川アキオ

袂からニヤリ取り出すチャッカマン

               (益田)石川アキオ

パワハラと言われかねない昨日今日

               (飯南)塩田美代子

美しい巫女にひそかに思い寄せ (出雲)岩本ひろこ

姑を送りたちまち強くなり   (益田)石田 三章

芝居だと分かっていても腹が立つ(江津)花田 美昭

物陰で笑いこらえるおかみさん (益田)吉川 洋子

財布さえ握っていればオレの勝ち(浜田)勝田  艶

外交はなんでもアリの大統領  (浜田)勇 之 祐

畳の目数えて耐える馬の耳   (出雲)栗田  枝

台風もなるべく出雲避けて吹き (江津)岡本美津子

オイ次はあっちの店に行こうやァ(浜田)佐々木わこ

連れてきた彼のすべてが気に入らぬ

               (松江)田中 堂太

夕飯のメニューなかなか決まらない

               (出雲)放ヒサユキ

クレーマー対策研修大盛況   (美郷)源  瞳子

お客様リストに赤の※(こめ)印

               (益田)黒田ひかり

ОB連バックネットに陣を張り (松江)田中 堂太

二学期になった高校三年生   (浜田)玉田 秀子

一強は困る多弱はなお困る   (松江)岩田 正之

もう一杯飲ませりゃ寝ると連れが言い

               (江津)花田 美昭

二歳児に翻弄されるパパとママ (出雲)野村たまえ

なっちゃんを梅沢富美男どなりつけ

               (出雲)原  陽子

今回は応募作品ぜんぶボツ   (美郷)吉田 重美

   ◇

 国造も国造なら、亀太夫も亀太夫―。アキオさんの2句、大笑いしました。

 佐々木亀太夫は、文句を言うのが趣味のようですね。あるいは、それで稼いでいるのでしょうか。

 「赤の※印」は要注意人物。ひかりさんの句、「お客様リスト」と、「お」と「様」が付いているところがおもしろい。

   ◇

 次は、

  ベランダの手摺りの上の植木鉢

に、七七の短句を付けてください。

   (島根大名誉教授)

2018年10月11日 無断転載禁止

こども新聞