紙上講演 国学院栃木短大講師 宮塚 寿美子氏

最近の日朝関係と北朝鮮情勢

 派遣労働者にノルマか

宮塚 寿美子氏
 山陰中央新報社の石見政経懇話会、石西政経懇話会の定例会が10、11の両日、浜田市と益田市であり、国学院栃木短大講師の宮塚寿美子氏(38)=北朝鮮学=が「最近の日朝関係と北朝鮮情勢」と題して講演した。海外への労働者派遣で外貨を獲得する北朝鮮の実情について、現地調査を基に解説した。要旨は次の通り。

 北朝鮮の弾道ミサイルや核兵器開発の資金源に海外への労働者派遣がある。国連安全保障理事会は昨年、北朝鮮の労働者への新規労働許可証の発行禁止と2年以内の送還を規定した。

 北朝鮮労働者は世界40カ国に5~10万人いるとされ、特にロシア(約2万人)と中国(約1万9千人)が多く受け入れている。派遣は1946年に当時のソ連が主導して始まり、50~60年代は囚人が国外追放の意味合いで送られた。

 80年代以降は外貨不足が深刻化し、北朝鮮の身分制度で頂点にあたる「核心階層」で、建築技師といった技能のある30~40代の既婚男性を選抜して送った。

 大半は建設現場の肉体労働に従事するが、2000年代に入って、北朝鮮が営業する飲食店での配膳や歌、踊りのショーをするため、20代女性の派遣が多くなった。彼女たちの中には大学や専門学校に在学中の学生がいて「研修として来ている」と話し、インターンシップのような制度があると説明した。

 カンボジアのアンコールワット遺跡の近くには200席もある大規模な北朝鮮レストランがあり、女性らは美女軍団だった。客として店内に入ると、配膳係の女性が「焼酎を注文したら特別に個室で公演してあげます」と勧めてきた。帰り際には漢方薬を買うように求め、名刺まで渡してきた。外貨稼ぎのために必死でセールスをするのは、従業員に一定額のノルマがあると推察している。

 労働者を派遣する機関は数多くあり、競り合っている。国連制裁があるものの、外交力を最大限に生かして生き残りを図るだろう。

2018年10月12日 無断転載禁止