拙速すぎる

 「事実上の移民政策」との懸念もある中で、あまりにも拙速だ。しかも詳細は国会のチェックが働きにくい省令になる。地域の受け入れ態勢や、日本人並みの処遇の徹底など課題は多く、趣旨を外れた実態もある技能実習制度の二の舞いが心配されている▼外国人労働者の受け入れを拡大する法改正が進む。深刻な人手不足に対応する狙い。家族の同伴を認めない在留期限5年の資格と、配偶者と子の同伴を認め、条件を満たせば永住の道が開ける資格を来年4月から新設する。対象が単純労働に広がり、人数に上限は設けないという▼初年度は約4万人とされるが、将来は数十万人規模の在留になるとみられ、在留資格が絡む結婚の問題も気になる。5年もいれば、職場や地域で出会いの機会がある。恋愛は無論、子どもができても不思議はない。相手が日本人なら結婚して配偶者になれば、日本で暮らし続ける夢も描ける▼一方で就労目的の「偽装結婚」と、それを仲介する業者が今でもニュースになる。既にネット上には配偶者の資格取得に関する相談・案内が並ぶ。なし崩し的な対応では新たな被害者やトラブルを生みかねない▼政府は「移民政策ではない」と強調する。ただ、外国人材の間口を大幅に広げる「開国」は、モノやサービスの場合と違い、国の将来像にも関わる。来る側も迎える側も安心できる制度を慎重に-。急がば回れだ。(己)

2018年11月6日 無断転載禁止