育成のススメ

 ソフトバンクの連覇で幕を閉じたプロ野球日本シリーズ。悔しさを抑えつつ、先月のドラフト会議で交渉権を獲得した兵庫・報徳学園高の小園海斗遊撃手の起用法など、はや来季の布陣に思いを巡らせている広島ファンは多いだろう▼ドラフトと言えば、札幌市で北海道移住ドラフト会議なる催しが初めて開かれた。移住希望者24人を選手に、道内の自治体・企業12団体を球団にそれぞれ見立てて、球団が指名するマッチングイベント。競合の末に交渉権を引き当て、本家顔負けのガッツポーズをする光景もあったという▼人口減少が加速する中、移住者の獲得合戦が活況だ。先日の本紙は、移住者の増加で石見銀山遺跡の中核地域・大田市大森町の保育園が廃園の危機を脱したと報じた。古民家を改修して移住者に安く提供する会社社長が掲げた「この地で育った子どもが『勤めたい』と思う企業に」という目標に膝を打った▼手法はどうあれ、移住者の子どもたちが定着しないと次世代で再び地域に揺らぎが生じる。地域への愛着心を幼い頃から育み、地元で働きたいと思ってもらえれば、地域の未来に光が差す▼ドラフト上位選手が注目されがちな球界。「甲斐キャノン」と呼ばれる強肩で盗塁を阻止しシリーズMVPに選ばれたソフトバンクの甲斐拓也捕手は、育成ドラフト6位のいわばたたき上げ。育成の大切さは野球にも町づくりにも通じる。(健)

2018年11月8日 無断転載禁止