レッツ連歌(下房桃菴)・11月8日付

(挿絵・Azu)
 ベランダの手摺りの上の植木鉢

右に家猫左にノラ猫     (出雲)七   重

鳩が卵を温めてます     (出雲)岩本ひろこ

震度7でも揺れぬマンション (松江)植田 延裕

落とさず跨ぐタマの曲芸   (益田)吉川 洋子

食卓飾る二十日大根     (江津)江藤  清

猫が跨いでシッコかけてく  (松江)花井 寛子

食事のあとにつまむキンカン (松江)田中 堂太

筋トレになる朝の水やり   (松江)岩田 正之

干した布団に水がポタポタ  (飯南)塩田美代子

蔦がからんで震度5に耐え  (雲南)妹尾 福子

隣家に伸びるゴーヤカーテン

           (兵庫・明石)折田 小枝

台風なのになにをしている  (松江)本田  章

看板も飛ぶ予報出ている   (松江)川津  蛙

隣の庭で大輪の花      (松江)澄川 高子

そう見せかけて実は灰皿 

           (沖縄・石垣)多胡 克己

インスタントもうまいコーヒー 

              (江津)花田 美昭

祖父の形見にもらったマンション

              (益田)可部 章二

見ている前で消えたマジック (美郷)芦矢 敦子

話題になった落ちぬお守り  (出雲)放ヒサユキ

買ってくれなきゃ落としてしまうぞ

              (松江)加茂 京子

秋の夕陽を独り占めして   (出雲)石飛 富夫

八年たてば柿も実がなる   (松江)高木 酔子

特選狙う山野草展      (益田)吉川 洋子

茅葺き屋根に根づくタンポポ (松江)河本 幹子

聖火リレーのコース決定   (益田)石田 三章

内閣改造してはみたけど   (江津)井原 芳政

トリックアートにアッと声上げ 

              (出雲)野村たまえ

夫は留守という合図なの   (益田)石川アキオ

待ち人来るという花言葉   (益田)黒田ひかり

           ◇

 延裕さんの句は、「…のはずだった」? 改竄(かいざん)も捏造(ねつぞう)もなんでもあり、の時代に生まれ合わせた私たちの不幸?

 章二さんの句は、形見にマンションをもらったわけでは、もちろんありません。もらったのは植木鉢。つまり一句は、「祖父の形見にもらった(植木鉢をベランダの手摺(てす)りの上に置いてある)マンション、という意味です。

 これは一見、曖昧な表現のようですが、実はぜんぜんそうじやない。とはいえ、一句を正しく理解するためには、( )内を補うだけの読解力が要求されます。読者はつねに試されているのです。

 ヒサユキさんの「お守り」は、「落ちぬ」の意味を、まるで取り違えたところがおもしろい。

 とはいえ、よくよく考えてみると、そもそもこのテのお守り自体、あえて意味を取り違えておいて、その上で縁起をかつぐものなのでした。

 兵庫県南あわじ市にある農業公園「イングランドの丘」では、コアラを飼っている。そのコアラをあしらったお守りが、いま受験生に大人気とか。コアラは木にしっかりとしがみついて、ぜったいに「落ちぬ」と申します。

 それだけじゃない。そのお守りには桜の花びらが貼りつけてあって、その花びらは和紙でできていて、その和紙にはコアラの糞が漉(す)き込んであるとのこと。「運が付く」のだそうですが、…しかし、そこまでやりますか。

 あまりのことに、これも入選!

           ◇

 次の前句は、

  懸賞で当たったヘアードライヤー

 別にヘアードライヤーでなくてもよかったのですが、ある雑誌を見ていたら、そんな景品の当たる懸賞が出ていて、なんとなくおかしかったので、つい―。

 付句は短句(七七)です。

               (島根大名誉教授)

2018年11月8日 無断転載禁止

こども新聞