ヨシタケコーヒー 発祥の地 浜田で復活 独自ネルで抽出

独特のネルを使ってコーヒーを抽出しながら、常連客と語らう店主の中原仁美さん
 戦後の浜田にコーヒー文化を根付かせた三浦義武(1899~1980年)が営んだ島根県浜田市紺屋町の「喫茶ヨシタケ」跡地近くに、当時のヨシタケコーヒーを再現して提供する喫茶店が誕生した。週1回の営業で、二重の綾織(あやおり)ネルで時間をかけて抽出したコーヒーが、当時の味を知る人たちを喜ばせている。

 三浦義武は戦前に東京・日本橋の白木屋デパートで「コーヒーを楽しむ会」を開き、各界の有名人を集めた。1951年に紺屋町で「喫茶ヨシタケ」を開店。65年には、世界初の缶コーヒー「ミラ・コーヒー」を発売するなどコーヒーの追究を続けたが、体を悪くした78年に店を閉めた。

 新たに誕生した喫茶店は「茶館(さかん)ヨリドコロ」。以前スナックだった店舗(浜田市紺屋町41)を使い、毎週土曜日の午前9時~午後4時に営業している。平日は近くの法律事務所職員として勤務している中原仁美さん(48)=浜田市国分町=が、4月から店を切り盛りしている。

 2015年1月、同市殿町の日本海信用金庫本店であった絵画展でヨシタケコーヒーの再現イベントがあり、中原さんは「エレベーターが開いた瞬間からいい香りがして、そこからはまった」と振り返る。

 市が創設した認証制度に合格し、ヨシタケコーヒー友の会の一員としてイベントでコーヒーをたててきた。16年末、県立大総合政策学部の藤原真砂教授が商店街活性化に向け、空き店舗を使った日替わり制コミュニティースペース「リスの家」を始めるのを聞き、「紺屋町でヨシタケコーヒーを楽しめるようにしたい」と一念発起した。

 開店後、喫茶ヨシタケを知る高齢者から「こんな感じだった」と生の声を聞き、うれしさがこみ上げた。800ミリリットルをつくるのに1時間かかる独特の抽出で生まれる澄んだ味を、多くの人に味わってほしいと願っている。

2018年11月21日 無断転載禁止