世事抄録 春夏秋冬

 学生時代のサークル仲間が全国からやってきた。茨城から岡山までの12人が飛行機や電車、バスで出雲に集まった。ホスト役を任され、出雲大社を皮切りに松江城と堀川遊覧、水木しげるロード、足立美術館と足を延ばして旧交を温めた。

 あのころ青春を謳歌(おうか)した仲間の中には、四十数年ぶりの懐かしい顔もあった。会えば一気にあのころに戻り、ホテルでは部屋での2次会で興に乗り過ぎて、フロントから電話で注意を受けるという学生並みの失敗もしでかした。

 初日の夜、京都から参加した1歳下の後輩が昔の写真が入っているというSDカードを1枚手渡してくれた。後で開いてみると、大学3年夏の写真が何枚も保存されていた。当時はフィルムだったから写真好きだった彼がデジタル化した懐かしい画像だった。

 仲間が写る中に鹿児島出身で2歳下の後輩の笑顔があった。数年前、賀状の返信に逝去の知らせが届いた。ネットで検索すると、呉服屋を継いだ彼は大型ショッピングセンターを運営する公社の社長として地域経済の振興に尽くし、NPО法人理事長としてまちづくりの中核を担っていた。

 後輩は南国育ちの明るさで誰にも愛されていた。写真を見ながらそれぞれの春夏秋冬を思った。2人で冬の伊吹山(滋賀)に登り、頂からはるかに眺めたアルプスの山なみを今も忘れられない。

 (出雲市・呑舟)

2018年11月22日 無断転載禁止