レベル11のサービス

 外資系生命保険で約2千人のトップになり「伝説の営業マン」といわれる川田修氏は、全ての職業に「レベル10」と「レベル11」があるとする。レベル10は顧客が頭の中で描く一般的な水準、それをほんの少し上回るサービスがレベル11。売れるか売れないかは「商品の差ではなく、少しだけ違う何かを提供し、相手の心を動かせるかどうかだ」と説く。リピーターを生む眼目と言えよう▼第1回の国宝松江城マラソンが行われた。松江城周辺や大根島を巡る風光明媚(めいび)なコースを駆け抜けたのは約5千人。石見路を舞台とするしおかぜ駅伝と合わせて初冬の風物詩となるだろう▼2007年に始まった東京マラソンを機にマラソンブームが巻き起こり、各地で年間2500を超す大会が開かれている。一方、ランナー数は頭打ちで、定員に満たない大会が増加。運営側は「おもてなし合戦」を繰り広げる。給水所でステーキを提供したり、完走者に有名ブランドのアクセサリーを提供したりする大会もある▼真価が問われるのは次回以降。松江は物ではなく心を売りにしたい。「客の心になりて亭主せよ」。茶の湯文化を極めた松江松平藩7代藩主・松平治郷(はるさと)(号・不昧(ふまい))の精神を受け継ぐ、われわれの腕の見せどころだ▼不昧流のように気取らず、それでいて洗練されたおもてなしとは何か。レース以外でランナーの心を動かす「レベル11」を考えたい。(玉)

2018年12月3日 無断転載禁止