仕事みてある記 伝統技法受け継ぎ鉄製品を手作り

鍛冶職人

 三宅(みやけ) 大樹(ひろき)さん(安来市広瀬町布部)

鍛冶の仕事を「自分の経験を蓄積し形作っていくところが魅力」と語る三宅大樹さん=安来市広瀬町布部
 鍛(か)冶(じ)職人(しょくにん)とは、鉄を打ってモノを作るのを仕事にする人のこと。鉄製(せい)品(ひん)も安い輸(ゆ)入(にゅう)品、大量生産に押(お)される時代ですが、今も古くから伝わる鍛(たん)錬(れん)という鍛冶の技(ぎ)法(ほう)を生かし製品を手作りする安(やす)来(ぎ)市広(ひろ)瀬(せ)町布(ふ)部(べ)の工(こう)房(ぼう)で働く三(み)宅(やけ)大(ひろ)樹(き)さん(37)は、仕事に対して「自分の経(けい)験(けん)の積み重ねが形になるところに魅力(みりょく)がある」と、意(い)欲(よく)を話します。

 三宅さんが勤(つと)める「鍛冶工房弘(ひろ)光(みつ)」は、江(え)戸(ど)時代から鍛冶業を営(いとな)んでいます。刀匠(とうしょう)でもある10代目の小(こ)藤(とう)洋(ひろ)也(なり)さん(76)家族が刀(とう)剣(けん)鍛錬の技術(ぎじゅつ)を受け継(つ)ぐ一方で、良質(りょうしつ)な鋼(はがね)や鉄を使ったインテリアにも合う和ろうそくを立てる燭(しょく)台(だい)や、燭台を持ち歩くため柄(え)がついた小さな手燭(てしょく)、あんどん、花器など創(そう)作(さく)工芸品を作り、販売(はんばい)しています。小藤さんによると、かつては注文が多かった鎌(かま)やくわ、すきなど農機具も、今では注文も少なくなったそうです。

 三宅さんは、2003年まで京都府内の住宅用ガラス工場に勤めた後、島根にUターン。「もともと、モノづくりが好きだった」ことから、04年に父親の知り合いだった小藤さんに弟(で)子(し)入りしました。

 仕事は毎週月-金曜日の午前9時から午後5時半まで。小藤さん家族と分(ぶん)担(たん)しながらの仕事は、材料や炭火の準備(じゅんび)から始まり、経験とともに任(まか)される仕事も増(ふ)えていきます。今、手燭を作る仕事では、炭火で真っ赤にした直径9センチ、厚(あつ)さ2ミリの鉄を金づちで鍛錬したり、足を曲げたりするなどの作業をします。

 「初めて任される仕事では、手順や見本をしっかり見て、自分のものにしています。仕事を任され、形がきれいにできるようになることにやりがいを感じる」。鍛冶の仕事について、「鉄はずっと大事にしてもらえれば100年、200年は使えるので、恥(は)ずかしいものは作れない。また、自分の蓄(ちく)積(せき)が形になるところが魅力です」と話し、将来(しょうらい)は自分で考えた作品を作ることが目標です。

★メッセージ
 鍛冶という伝(でん)統(とう)工芸の仕事は、現(げん)代(だい)では必ずしも日常(にちじょう)生活に必要ではないかもしれません。しかし、「すてきだね」「いいね」と言ってくださる人がいることを念頭に置きながら、今までの経験を蓄積し形作っていくのが良いところです。

 どんなことも小さなことの積み重ね。遠回りしても何かしらの役に立つと思いながら、経験を積んでもらいたいですね。

2018年12月5日 無断転載禁止

こども新聞