絵本「編笠地蔵さん」のお堂建て替え 松江・本庄

お堂の完成を喜ぶ地域住民
 松江市本庄地区に伝わる悲話を描いた絵本「編笠(あみがさ)地蔵さん」に出てくるお堂が老朽化したのを受け、地域住民がポリテクセンター島根(松江市東朝日町)の協力を得て建て替えた。お堂は地域のシンボルとなっており、関係者は改築を契機に逸話の継承と保存を誓う。

 編笠地蔵さんは約300年前、水不足対策として行った堤工事がうまくいかず、人柱を立てて成功を祈り、犠牲になった編み笠売りの男性を編笠地蔵として祭った悲劇を描いた。

 地蔵を祭るお堂は、本庄地区の西寄りにある山崎堤の近くにあり、地域住民が日々、目にする。一方、少なくとも約150年間、建て替えられておらず、老朽化が進んでいた。

 「見かけるたびに、何とかして直したいと感じていた」と近くの田村忠次さん(71)=松江市上本庄町。今春に絵本が完成したこともあり、修復する方針を決め、松江市内の建設会社や工務店に見積もりを依頼。しかし、高額な費用がネックで思い悩んでいた。

 「ポリテクセンターに頼んでみたら」。知人が助け舟を出してくれた。ポリテクセンター島根居住系住宅リフォーム技術科の諸石賢一職業能力開発指導員(45)に持ち掛けたところ「訓練生の教材になる。無償で引き受けたい」と快諾を得た。

 15人の訓練生が3メートルのスギ材を5本使い、高さ120センチ、幅・奥行き65センチのお堂を4日間かけて作った。「隙間を作らないよう細かい部分にこだわった」と手掛けた訓練生の瀬戸靖士さん(57)。基礎の整備と屋根の板金は地域住民らが担当した。

 1日に落慶法要があり、地域住民17人が新築を祝った。田村さんは「先人の苦労を敬うとともに完成を機に逸話を広め、お堂の保存に努めたい」と誓った。

2018年12月5日 無断転載禁止