夢よもう一度なら

 「年がいもなく」という言い方をするが、年齢を忘れるくらい夢中になれれば心は浮き立つ。ただ後日、疲れが出たり筋肉痛になったり。シーズンを迎えた忘年会も同じ。勢いに任せて深酒をすると翌日に響く。気持ちは若い頃と同じでも、体力は確実に落ちている。ご用心だ▼2年後の東京五輪に続き、7年後の大阪万博開催が決まった。国を挙げてのイベントとあって経済成長の「起爆剤」の役割を期待する声が強い。1964年の東京五輪、70年の前回大阪万博の成功体験があるだけに「夢よもう一度」と期待が膨らむのだろう▼水を差す気はないが、心得ておかないといけないのは、日本の体力は当時とは同じではないという点。前回の開催時は高度成長期で、高齢化率もまだ6~7%程度。今の4分の1ほどだった。人生で言えば「青年期」で、若い労働力が潤沢な頃だ▼ところが、今は人口減少で深刻な人手不足に悩み、数十万人規模で外国人労働者に頼らないと立ちゆかないような状況。東京、大阪と立て続けに大都市に人手を吸収されると、そうでなくても賃金の低い地方は、業種によっては不足の度合いが増し、せっかくの波及効果がぬか喜びになりかねない▼東京五輪、大阪万博の特需を狙いに「もう一花」と目論(もくろ)むなら、地道な体力強化に今からでも取り組んだ方がいい。「備えあれば憂いなし」だ。日本はもう若くない。(己)

2018年12月6日 無断転載禁止