世事抄録 “消費罪”の謀略

 なし崩し移民の入管難民法改正案ごり押しで臨時国会が混迷し、まるで来年10月の消費税増税は確定したかのような雰囲気。この二つだけでも日本の行く末が暗転する境目なのに、その正体をあばき、是正する世論と政治が本気で立ち上がらない。菅官房長官は「リーマン・ショックのようなことがあれば増税を実施しない」とけむに巻くが、税率10%はもはや“消費罪”の次元で、空前の消費不況によって安倍政権自身が青ざめることになるだろう。

 過去30年の税収構造の変化を見れば消費税の悪徳は明白だ。確かに税収規模は1989年度54・9兆円、2016年度55・5兆円と悲しいほど増えていない。ところが所得税は21・4兆円から17・6兆円へ、法人税は19兆円から10・3兆円へ、消費税は3・3兆円から17・2兆円へ構造が様変わり。何たることか、法人税と所得税の減少分13兆円は消費税の14兆円増で埋め合わせている。

 今度の増税は「半分を財政再建、半分を社会保障に充てる」との説明だが、目的税でもあるまいし一般財源の使途を限定する論は成り立たない。そもそも国の借金が1千兆円超えだと脅すのは悪質な誘導で、政府のバランスシート(2016年末)は負債1285兆円に対し1302兆円の資産を保有し18兆円の資産超過。「財政危機」だけあおり庶民をいたぶる謀略とは、平成最後の年末で縁を切りたいものである。

(松江市・風来)

2018年12月6日 無断転載禁止