改正水道法成立/民営化は万能ではない

 改正水道法が成立した。水道水を供給する事業を担う市町村が、民間を活用したり広域連携したりするのが柱だ。市町村が水道事業を経営するという原則からの転換ともなる。

 改正の背景には、人口減少や節水によって水道水の利用が減る一方で、高度成長期以降に整備された施設の更新が必要という切迫した理由があると分析できる。

 実際、利用量は40年後、ピークだった2000年から約4割減ると想定される。水道事業は独立採算制で原則、料金で運営されているため、今後は人口が減る多くの自治体で経営状態は悪化する。

 一方、40年の法定耐用年数を超えた水道管路などは増えていく。地震や豪雨など自然災害による被害も目立っている。これらの施設の更新や復旧にかかる費用が、経営を圧迫することは明らかだ。

 収入減に対する行政の対応策は、コスト削減が中心となる。民間活用とは、水道に関係する施設は自治体が所有したまま、その管理や運営を一定期間、民間企業に任せる「コンセッション方式」を導入することだ。民間の経営ノウハウを生かした効率的な運営を生かす、民営化の一形態と位置付けられている。

 既に関西や仙台など多くの空港や、愛知県の高速道路、浜松市の下水道などで実施されている。

 だが、コンセッション方式の前例があるからと言って、水道事業で実施しても問題ないとは即断できない。経営を委託される民間事業者は、地域の独占企業となる。それだけに水道料金を引き上げないか心配だ。

 さらに長期間の民間委託となると、自治体側が持っている水道事業に関するノウハウが失われ、企業側の言いなりになる恐れも強い。委託するとしても、十分にチェックできる体制を自治体が確保し続けることが大前提となる。

 自治体との契約で企業側を縛るので、一方的な値上げはできないとされるが、海外では民営化された水道事業が再び公営化される事例が目立っている。さらに飲み水の安全性は本当に保たれるのかなど課題は残る。懸念を拭い去ることはできない。民営化は万能ではないと断言したい。

 そうなるとコスト削減のため多くの自治体は水道事業の広域化を目指すことになる。改正法でも都道府県が自治体間の広域連携を進めるため、計画を策定するなど水道の基盤強化の役割を果たすよう求めている。

 例えば香川県では今年4月、県内のほとんどの市町が参加した水道企業団によって供給を一元化した。老朽化した浄水場の数を約半分にし、水道関係の職員数も減らして運営費を削減する方針だ。効率化で水道料金の将来的な値上げも抑制できるとする。

 大都市の水道事業者が、小規模自治体を支援する方法もある。広域化や相互支援といった連携の推進の方が理解を得やすいのではないか。

 ただコスト削減の効果には限界がある。収入減や施設更新のため、将来の料金値上げは必至だ。それを避けるには税金をさらにつぎ込むか、料金以外の受益者負担を増やすしかない。自治体はこの現実を踏まえて水道事業の将来像を描き、議会や住民に丁寧に説明した上で十分な理解を得て対策を選択すべきだ。

2018年12月8日 無断転載禁止