保護と活用のバランス

 教育委員会は、首長部局から独立した戦後生まれの組織だが、肝心の職員人事や予算の権限は首長部局が握っており、形骸化が指摘されている▼それでも、独立を貫いてほしい仕事がある。文化財保護だ。文化財を調べ、適切に保存し、活用にも結び付ける。開発で壊されそうになれば、何とか残せないかと話し合う▼1990年代は経済対策に伴う公共事業ラッシュにより、山陰をはじめ各地で多くの遺跡が消滅した。首長部局の開発も多かったが、教委側が開発側とすり合わせ、残した遺跡はゼロではない。当時取材した実感からも、開発側と保護側は別々が望ましい▼しかし、4月施行の改正文化財保護法は逆を行く。文化財を首長が所管しやすくして、活用への道を強化。観光立国に向け、文化財を外国人を呼び込むツールにしようという国の意図が透ける。鳥取県は施行に合わせ今春、知事部局へ文化財行政を移管する考えだ▼もちろん鳥取を元気にするためだろうが、地味で地域振興に活用しにくくても、重要度の高い文化財は山とあることを忘れないでほしい。ましてや昔のようにその価値に目をつぶり、強引に開発するのは言語道断。移管するなら開発や活用の論理が行き過ぎないようバランスを取るべきだ。お目付け役として文化財保護審議会の機能を強化したり、文化財担当職員に強い権限を与えたりするなど、手はいくらでもある。(示)

2019年2月10日 無断転載禁止