改正入管法/どう見ても準備不足だ

 あと2カ月足らずで改正入管難民法が施行され、新たな在留資格の「特定技能」による外国人労働者の受け入れが始まる。人手不足に悩む介護や農業、製造業など14分野で今後5年間に最大34万5千人になると見込まれ、政府は日本で働き、暮らすことになる外国人との共生をうたい、行政の多言語対応など多岐にわたる支援策を講じるとする。

 日本で働く外国人は昨年10月の時点で、技能実習生や留学生を中心に146万人。この10年間で3倍に増えた。今や外国人抜きで日本経済は成り立たないとされ、これまで「高度な専門人材」に限ってきた在留資格を、単純労働を含む分野にまで広げないと立ちゆかないだろう。

 しかし、どう見ても準備不足だ。例えば、全国100カ所の自治体に多言語で行政・生活情報の提供や相談を行うワンストップセンターを設置するという。支援策の目玉だが、設置時期など詳細は未定。国が財政支援をするとはいえ、医療や雇用も含め幅広く対応できる通訳などの確保が必要になり、運用主体となる自治体の負担は重い。

 また賃金の高い大都市に外国人材が集中してしまうという地方の懸念にも十分な解決策は示されていない。ほかにも積み残しになっている課題は多く新制度の円滑な運用を期待するのは難しい。目の前にある疑問や不安に政府は早急に答えを出す必要がある。

 政府は昨年6月、新たな在留資格の創設を盛り込んだ骨太方針を閣議決定。11月に入管難民法などの改正案を国会に提出。与党が野党の抵抗を振り切り、1カ月足らずで12月初めに成立にこぎ着けた。ところが制度設計で「検討中」の部分が多く、法成立後に運用全般の基本方針や、外国人支援策を柱とする総合的対応策などを示した。

 これを受けて先月下旬には閉会中審査が行われたが、制度の全体像は依然として鮮明にならない。相談窓口の設置について法務省は、英語や中国語、韓国・朝鮮語、ベトナム語など10言語で対応するとし、地方出入国在留管理局の職員を派遣するなど交付金以外の支援も行うと答弁。ただ人材確保など体制づくりや運用は自治体任せとみられ「丸投げされる」と懸念が広がっている。窓口が100カ所では足りないとの指摘もある。

 さらに外国人材の都市への偏在を防ぐ方策について質問が相次いだ。法務省は、農業や製造業といった分野ごとに事業者らも加わる協議会をつくり、外国人材が少ない地域について賃金差などの原因を調査。場合によっては大都市圏での受け入れ自粛を事業者側に要請すると説明した。

 だが、どの程度の偏在が起きたら要請に動くのか、その実効性をどう確保するのかは、はっきりしない。そもそも、より良い条件を求め移動する自由をどこまで制限できるかとの疑問がある。

 まだある。当初、受け入れの大半は家族を伴わず在留期間5年の特定技能1号で、その6割程度を3年間の実習を終えた技能実習生が占めるとみられる。だが技能実習制度を巡っては長時間労働や低賃金、失踪などの問題が噴出している。政府は調査と改善を約束したが、この際、抜本的な見直しを行うべきだ。

 4月施行ありきで無理を重ねた結果で、責任ある対応を求めたい。

2019年2月10日 無断転載禁止