3.11の経験 大田の防災力向上へ 県立大3年・家迫さん

東日本大震災のボランティア経験を振り返り、研究を防災力向上に役立てたいと話す家迫秀和さん=大田市温泉津町湯里、湯里まちづくりセンター
 「3.11」の経験を大田市の防災力向上に役立てたい。島根県立大総合政策学部3年の家迫秀和さん(21)=島根県大田市温泉津町湯里=は高校生の時に、東日本大震災の被災地にボランティアで入り、目の当たりにした惨状から地域防災への関心を高めた。大学で研究テーマに選んだ1年後、県西部を震源とした最大震度5強の地震で自らも被災。経験を礎に、研究を通して啓発を図る。

 地元の中学生だった2011年3月11日。遠く離れた東北の地は、想像を絶する揺れと津波で一変した。連日の報道に心を痛め、いつか支援に携わりたいと誓った。

 大田高校1年の13年12月、島根県社会福祉協議会の呼び掛けで、災害ボランティアとして3日間、宮城県南三陸町に赴き、被災した町や水田からがれきを撤去する作業に当たった。

 震災から2年近くたっていたが、多くのがれきが残り、かつての住宅街は更地のまま。人の営みが消えた無機質な空間に「被災地の復興は進んでいない」と実感し、災害の恐ろしさと備えの大切さを思い知らされた。

 大学に進学し、2年の時に防災を研究テーマに選んだ。生まれ育った大田市で、それまで災害が少なかったのを受け、被災経験の少ない地域の防災意識を高める手法を考え始めた。

 1年後の18年4月9日、大田市を地震が襲った。自宅の壁にひびが入り、近所の家々の屋根はブルーシートに覆われた。「災害は予測していない時に起こる」。身が震えるとともに、地元で起こった災害を研究テーマにしたいとの思いに駆られた。

 4カ月後、大田市民500人を対象に、地震に関するアンケートをした。回答者の約6割が地震後も備えをしていないと答えた結果に「自分だけは大丈夫と思ってしまうのだろうか」と感じる一方、地域貢献への意欲の高さを知り「地域防災の取り組み強化につなげられないか」と思案する。

 研究の傍ら、大田市内でブロック塀の撤去や墓石の修繕といったボランティア作業に当たる中で、関心は、同様にマンパワー不足が課題の中山間地域の防災対策へと広がった。「難しいテーマだが、続けていきたい」。東日本大震災のボランティア経験が自身の被災体験とつながり、研究の原動力となっている。

2019年3月11日 無断転載禁止

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