レッツ連歌(下房桃菴)・4月11日付

(挿絵・Azu)
 何度かご紹介した「ますだ連歌クラブ」―。このほど第55回の例会をお迎えになった由。まことにおめでとうございます。

 同クラブから、近年巻かれた連歌作品を送っていただきました。

  ねこに来る賀状や猫のくすしより   久保より江

  フード試食のご案内まで       石田 三章

  初孫に次々届く祝品         吉川 洋子

  どこから漏れる個人情報       黒田ひかり

  店すべて妻が知ってたはしご酒    石川アキオ

  山と海とに挟まれた町           三章

  去年からふるさと納税日本一     竹内 良子

  地元の人は食えぬノドグロ         洋子

  昔から好きではないとやせがまん   山崎 重子

  電通やっと重い腰あげ        兼子 哲彦

  …

 体言止めがちょっと続きますが、そんな細かいことはともかく、次々話題を転じていく、この軽快さ。こんなにレベルが高いとは、失礼ながら、私は思っておりませんでした。

 出雲部や隠岐のみなさん、負けておられませんぞ!

           ◇

 原稿用紙て知っていますか

ウイルスの影響受けぬすぐれもの (浜田)三隅  彰

卒論はこれに限ると老教授    (出雲)行長 好友

放課後はガリ版刷りのお手伝い  (松江)河本 幹子

文豪の自筆と知らず捨てました  (松江)小谷由紀子

句読点一人前に扱われ      (出雲)栗田  枝

ラブレターなら便箋を使ってね  (松江)相見 哲雄

感想文なけりゃ楽しい夏休み   (出雲)吾郷 寿海

二十枚書く宿題に泣きました   (出雲)岩本ひろこ

チコちゃんに家族そろって叱られる(松江)澄川 克治

卒論の悪夢が今もよみがえり   (出雲)放ヒサユキ

名作は万年筆がよく似合い    (松江)川津  蛙

お祝いの万年筆は箱のまま (沖縄・石垣)多胡 克己

芥川気どり頬杖ついてみる  (隠岐の島)大田 有子

超薄型手書き入力だけのやつ   (雲南)横山 一稔

コピペするときはいったいどうやるの

                (米子)烏田真理子

クシャクシャクシャポイで頭を掻きむしり

                (益田)可部 章二

亡き母の紙(かみ)縒(よ)りで綴じた俳句集

                (江津)花田 美昭

句読点やたらと付ける感想文   (大田)塩毛 千介

推敲の過程楽しむ記念館     (松江)森  笑子

朱を入れてつっ返された自信作  (松江)岩田 正之

赤ペンがわたしの個性消してゆく (松江)田中 堂太

つけペンで書いた時代の懐かしく (松江)持田 高行

とりあえず百枚置いた豆作家   (松江)原田 充子

スピーチは二枚程度と言ったはず (出雲)三島 真子

四百字書けと指示するノルマ表  (出雲)櫛井 伸幸

とりあえず般若心経書いてみる  (出雲)栗田  枝

そういえば平成までは使ってた  (益田)石川アキオ

カプセルに歓声あがる同窓会   (浜田)松井 鏡子

◇ 原稿用紙は、句読点でも、それぞれ一マス分を使います。この単純な事実を、枝さんは「一人前」ということばで、ユーモアたっぷりに表現されました。

 「一人前」を悪用すると、千介さんの「感想文」になりますね。

 感想文や卒論には、みなさん、そうとう苦労なさったか、あまりいい思い出はお持ちでないようで。

           ◇

 とはいえ、世の中には、

  選べることと選べないこと

がある…。

 この前句に、今度もユーモアあふれる、楽しい長句(五七五)を付けてください。

     (島根大名誉教授)

2019年4月11日 無断転載禁止

こども新聞