賃上げ改革

 こいつぁ春から景気がいいわぇーと歌舞伎役者なら大見えを切るに違いない。メガバンクの三菱UFJ銀行が、春闘で労働組合が要求した2倍の1%のベースアップ(ベア)回答をしたかと思えばカジュアル衣料のユニクロを運営するファーストリテイリングは大卒初任給を来春一気に4万5千円増やす▼比べられたら大変と他の経営者からは白い目で見られそうだが、この春は大胆な賃上げニュースの季節。人手不足で人材争奪戦が過熱する中、ITエンジニアなどには破格の待遇改善がめじろ押し▼しかし三菱UFJ銀の場合は事情が入り組む。儲(もう)かり過ぎたからベアで「倍返し」というわけではない。今後の退職者増のスピードに仕事量の削減が追い付かないため、1人当たりの業務量が増えるのに報いるが、今後は全員一律型の賃上げ方式は見直すとのメッセージ付き▼4月からスタートした働き方改革に歩調を合わせるかのように賃金の上げ方改革も進む。黙っていても年相応に給料が上がる年功序列型が崩れ、働きに応じて実入りが増えるメリハリ型に移行しつつある▼メリハリ型と言えば聞こえはいいが、経営者の都合のいいように運用されては賃下げの口実にされかねない。「島根県ではその前にまず賃金の底上げ」という連合島根幹部の主張に共感する。能力に応じて働きながら、こいつぁ春から懐が温けぇの見えを切ってみたい。(前)

2019年4月12日 無断転載禁止