ペンと乳(39) いちに、いちに…

立ちたい、食べたい、成長中

 1歳を目前にして、つかまり立ちや伝い歩きが得意になった。抱っこしようと手を差し伸べると、その手をつかんで脚に力を入れ、立ち上がる。立つと、お次は歩こうとする。両手をつないで前へ。「いちに、いちに…」。ほほ笑ましい時間はつかの間。ちょっと用が…と手を放し、その場に座らそうとするものなら泣いて怒る。付き合ってあげられたらいいが、朝なら仕事や保育所への準備、夕方は夕飯準備など、段取りが次々に頭をかすめてくる。大人の都合で本当に申し訳なくなる。

 夕食準備で台所に立っていると、伝い歩きでやって来て、私の両足にがしっとつかまって立つ。振り向くと、満面に笑みを浮かべるわが子。「ちょっと~、動けんがね~」。困惑しているようで、内心うれしくてにやけてしまう。

 「手づかみ食べ」にもはまっている。ご飯や煮た野菜、ハンバーグなどをしっかり握りしめて口へ運ぶ。手にした段階で既に大きな口を開けているのに、いざ口の方へ持って行くと少しずれたり、こぼれたり。それでも「自分で食べる」ことがうれしそうだった。

 一方で、私はなかなか食事を楽しめない。子は食べたままの手で顔や髪の毛を触るので、米粒や納豆まみれだ。トマトを食べれば、汁が「ぷしゅー」と四方八方に飛んでしまう。机のこんなとこやあんなとこ、いすや床もべちゃべちゃだ。片付けを先回りして考えてしまい、ついため息がもれる。子どもは楽しそうに食べているのに。反省だ。

 食事を終え、米粒まみれの手を洗おうと抱きかかえて流し台へ。右手を洗い、抱っこを持ち替え左手を洗い、口の周りも洗って…。そうするうちに、気付くと自分の背中や髪の毛も米粒まみれだ。しかも後で夫に指摘されて初めて気付く。このまま外を歩いていたら、見て見ぬふりをするか、そっと教えてほしい。必死さは伝わるだろうか。

2019年4月20日 無断転載禁止