ペンと乳(42) 謝罪疲れ

妻のメールがズシンと響く

 「きょうは何時に帰れそうかね?」-。その日の原稿に向き合っている夕刻、妻からメールが入る。夫の協力を期待してくれてのことだが、実はこれが地味にこたえている。「きょうも謝らんといけんのか…」と。

 記者の担当分野はさまざまで、私は島根県政担当。県庁記者室に詰めながら主に行政や議会などの情報に張り付く。仕事の調整は難しく、定時の帰宅はまれ。突発の災害や選挙になればなおさらだ。帰宅したいのはやまやまだが、「きょうも厳しい…」と返信するのがおち。飲み会の連絡をするのも心苦しい。

 わが家で子と格闘している同業の妻も理解していると信じているが「申し訳ない」「スマン」を言い続けるしかないのがつらい。謝罪疲れである。

 共働きが主流になり、イクメンが注目される昨今、「男ばかり仕事中心の生活ってどうなの?」という社会の目があるのは重々承知している。ただ、仕事の現場は簡単に変わらないのも事実なのだ。

 …などと用意している言い訳がむなしくなるほど、子と過ごす時間が不足していることのツケは、形として現れ始めている。

 子は最近、就寝時にアンパンマンやミッキーマウスなど大好きな縫いぐるみを複数寝室に運び込み横になるのが日課だ。わが家の寝室は記者のセミダブル、妻のシングルの布団をくっつけ、子を中心とした「川の字」のスタイルをとる。ところが、子は妻の布団に身を寄せ、セミダブルはいつもがら空き状態。子と私との間には、縫いぐるみたちの厚い壁が立ちはだかる。

 「男はつらいよ」と片付けられる時代ではないと自覚している。仕事を全うしつつ、帰宅を早められる方法はないか-。思索を巡らせながら、いつも大の字で眠るのである。

2019年5月11日 無断転載禁止