ブラックホール撮影

 重力が非常に強く、光さえも吸い込んでしまうというブラックホールを、国際研究チームが初めて撮影したとのニュースは、松江市玉湯町出身で国立天文台水沢VLBI観測所助教の秦和弘さんが重要な役割を果たしたこともあって、山陰でも大きな関心を持って受け止められた▼当方、数学や物理の理解力は乏しいが、未知なる宇宙に関わる話は、研究にまつわるエピソードも含めて心引かれ、さまざまなことを考えさせられる▼ブラックホールは約100年前、アインシュタインの一般相対性理論の方程式をドイツの天文学者カール・シュバルツシルトが解くことによって、その存在が予想された。第1次世界大戦の戦場のテントで計算を続けたという彼はしかし、従軍中にかかった病気のため40代前半の若さで亡くなってしまう▼今回の快挙には、理論が観測や実験によって裏付けられる、科学の面白さを改めて感じた。南米や欧州など世界6カ所の望遠鏡を組み合わせ、地球サイズの仮想望遠鏡を作った大プロジェクト。今、世界は必ずしも平和とは言えないが、国際協力のたまものだ▼宇宙の規模からすれば、とてもちっぽけな人類が、自らの存在基盤を知ろうと、好奇心や探求心に突き動かされて重ねてきた営みが尊い。一つ解けば、また別の謎が生まれることの繰り返し。この先、どんな発見に出合えるのだろうと思うと、わくわくする。(輔)

2019年5月21日 無断転載禁止