ペンと乳(44) 過渡期

散らかりも貴重な風景?

 いま過渡期にいるな、と思う。1歳を過ぎたが、まだ授乳は続けている。歩行も、手を離して2、3歩ほど歩けてから1カ月が経過するが、まだ伝い歩きの方がいいらしい。

 でも、数カ月後には当たり前に歩き、卒乳しておっぱいの存在すら忘れているかもしれない。寝ぼけ眼でちゅぱちゅぱ乳を吸う姿、よっこいしょっと机や壁につかまって、伝い歩きする姿。これらがもうすぐ見られなくなると思うと、今日が尊いと感じずにいられない。

 子が最近はまっているのは「物を出す」とか「しまう」こと。食器棚を器用に開け、皿やコップを出しまくった後、放置してどこかへ行ってしまう。少したつと、おもちゃ箱にあるボールなどを空いた棚にしまい始める。その行動につい笑ってしまうが、本人は至って真剣。「何がおかしいの?」とばかりにこちらに冷たい視線を送り、黙々と作業を続ける。ひと通り終えると、別の棚を開けて同じ作業を繰り返す。

 財布の中身を出すのも大好き。カードや紙幣を抜き出し、床にばらまく。いたずらに集中している時はやけに静かだ。途中で止めようものなら真っ赤になって怒り泣きする。私にできるのは気が済むまで見守ること。子が寝入った後に片付けていたら、保険証や免許証が見当たらず冷や汗をかいたこともあるが…。

 「何かに入る」のも得意で、子の背丈ほどある戸棚の扉を器用に開け、気づくと中に入っている。段ボールなどを見つけると、すかさず中に収まり満足げ。洗濯かごの衣類も全部出し、自分が入る。さらに自分の弁当箱を見つけてふたを開け、中に入ろうとしている瞬間も見かけた(入れるわけないのだが)。

 一日中「ねんね」だった頃とは比べものにならないほど行動範囲が広がり、毎日が刺激的なんだろう。大人にとっては煩わしい「いたずら」も、今しか見られない貴重な風景か。散らかった部屋を眺め、そんなことを考えていた。

2019年5月25日 無断転載禁止