山陰地銀3行決算/限界に来た超金融緩和

 山陰両県に本店を置く地方銀行3行の2019年3月期(2018年4月~19年3月)の連結決算が出そろった。超低金利政策が長期化している影響で貸出金利の低下に歯止めがかからず、3行とも前期に比べ最終損益が減益となった。

 金利が低いため、利息収入が抑えられ、集めた預金を融資に回して稼ぐ銀行本来の業績は苦戦を強いられている。収益に直結する金利低下は限界に達しており、長期化するほど経営体力はそがれる。

 今のところ山陰の景気は減速しながらも堅調さを保っており、取引先の倒産などで不良債権が増える事態には至っていない。

 しかし米中貿易摩擦などで景気が冷え込めば、不良債権処理などで経営が追い込まれかねない。超低金利による経営リスクがいつ顕在化するか不透明感が強まっている。地域金融の安定化を図るためにも、マイナス金利まで踏み込んだ金融政策を見直す時期に来ているのではないか。

 売上高に相当する経常収益は山陰合同銀行、鳥取銀行、島根銀行3行合わせて1206億円で前期比0.9%減。山陰合銀は増収となったが、鳥取銀、島根銀2行は減収となった。各行とも返済能力に不安があるミドルリスク層企業を含め貸し出しは伸ばしたが、融資規模が大きい山陰合銀以外は金利低下の影響を吸収できなかった。

 最終損益に当たる純利益は3行合計で前期比6%減って145億円。いずれも国債など有価証券の利息配当金の減少などで落ち込んだ。

 低金利の影響を象徴するのが銀行の本業の儲(もう)けを示すコア業務純益が3行とも減益となったことであり、このうち島根銀は3期連続で赤字となった。貸出金と預金の利ざやが縮小するなど本業で稼ぐ力が落ち込んでいる。

 各行とも低金利が長期化する中で経営効率化を迫られている。しかしその副作用も表面化してきた。コスト削減のため、店舗統廃合や現金自動預払機(ATM)の削減を進めるなど利用者にも影響が広がっている。

 18年度中に鳥取銀は店舗を近年では最多の8店減らしたほか、島根銀は松江営業センターを廃止するとともに5店舗をATMのみの無人化するなどここに来て店舗のリストラが加速。山陰合銀は出張所など3店舗を廃止した。

 ATMについては山陰合銀が年間数台だった削減規模を18年度中には一挙に52台に拡大するなど合理化が進められている。他の金融機関やコンビニATMを利用しやすい場所を中心に廃止したが、利用者への影響は避けられない。

 店舗統廃合による経営効率化に当たっては利用者の立場にも配慮してほしい。特に金融機関の店舗が少ない中山間地域では金融サービスを利用できなくなる恐れもあり、店舗の移転などに当たっては利用者に説明を尽くすべきだ。

 各行とも金利の低下に銀行が持っている取引先情報を生かした営業力強化で対応しようとしている。取引先を紹介するビジネスマッチングやM&A(企業の合併・買収)の仲介などを通じて部分的に成果は出ているが、金利低下に追い付いていない実情だ。

 デフレ脱却を目指す超金融緩和継続に是非はあるが、地域金融が地域経済を支えていることも忘れてはならない。

2019年5月31日 無断転載禁止