丸山県政本格スタート/現場主義の具体化を

 島根県の丸山達也知事による県政がスタートして初めての議会が今日から開催される。丸山新知事が今後の県政運営について施政方針を述べるほか、総額3億2千万円の本年度6月補正予算案など14議案が提出される。

 溝口善兵衛前知事の下で編成された本年度予算は、新規事業などを盛り込んだ通常予算となっているため、丸山知事の裁量を反映させる余地は限られている。

 その中で外国人観光客を増やすため、出雲空港と韓国・ソウルを結ぶ国際チャーター便の連続運航を推進する予算を計上するなど、新知事が目指す施策の芽だしもうかがわれる。

 島根県知事としては最年少の49歳の若さと行動力を生かしながら、現場主義に徹するという丸山氏が掲げた基本姿勢を今後どう具体化していくか。施政方針で県政の方向性を明らかにするとともに、論戦を通じて幅広い県民の声を政策に生かしていく決意を示してほしい。

 先月の連休明けから本格的に始動した丸山知事は活発に動いている。「県庁にいる時間は短くなる。産業界を含め、できるだけ多くの県民に会って生の声を県政に反映していきたい」として矢継ぎ早に県内外に出掛け対話路線を打ち出した。

 鳥取県の平井伸治知事と会談したのをはじめ、「知事と語る車座トーク」や女性100人会議などに精力的に出席し、地域課題などで意見交換した。日常の生活や職場の現場にこそ生きた情報があり、そこから政策ニーズをくみ取る姿勢を貫いてほしい。

 対話のプロセスを重視してほしいが、意見や要望を聞きっぱなしに終わらせては県民の期待が失望に変わりかねない。対話を政策に反映させる努力を重ねながら、できなければその理由を丁寧に説明すべきだろう。

 新人知事の出だしとあって多少の気負いもあるのだろうが、知事の行動だけが先走る個人プレーとならないよう県職員との円滑なコミュニケーションも欠かせない。

 人口減を抑制し、中山間地域や離島を含む県民生活を守る県政の課題は、溝口前知事と変わりはない。しかし財政が悪化し、借金の返済に追われた前知事時代に比べれば、丸山知事の場合は少し改善された。そこにどんな丸山カラーを打ち出すか注目したい。

 総務省から島根県に出向したときに策定した県版総合戦略が本年度最終年度を迎え、新たな計画に引き継がれる。政策のスクラップ・アンド・ビルド(見直し)を掲げる新知事として真価が問われる。

 前知事時代の3期12年に県人口は5万7千人減少し、昨年9月には68万人を割った。人口減に歯止めをかける対策が一丁目一番地だ。

 知事選を巡って保守勢力が分裂した影響については丸山氏は「対立したのは事実だが、県民のための県政を推進するという方向性では違いはない」として今後県議会や県選出の国会議員を含め融和を図っていく姿勢を示した。

 選挙で支持を受けた団体などの意向に県政が影響を受ける懸念も指摘されているが、県民全体の利益を最大化するという大局観を見失ってはならない。個別利害に縛られない県政運営に向けて、知事自身が常に自らに問い掛けていく姿勢が必要だろう。

2019年6月6日 無断転載禁止