ペンと乳(47) 「イヤイヤ」の兆し

縫いぐるみに頼る日々

 うわさには聞いていた「イヤイヤ期」の兆しを感じ始めたのは1歳半の頃。主張が激しくなり、思うようにいかないと怒り、オムツ替えや着替え、入浴など全て嫌がるようになった。

 保育所のお迎え時。靴を履かせようとすると「いぁん(いらん)!」と激怒。自分で履きたいのだ。左右逆に履いているので直そうとすると「バイバイ(怒)!!」と真っ赤になって拒む。わが子は怒ると「バイバイ」と言う。「あっち行け」の意味だと受け止めている。チャイルドシートにも乗りたがらず、毎日苦戦する。仕事終わりから帰宅までの道のりが、果てしなく遠く感じる。

 食事も、食べさせようとスプーンを口に運ぶと首を左右に振って「いぁん」。おむつ替えも、ズボンを脱がせると「バイバイ!」と怒り泣き。おむつを引きはがすように脱がすとそのまま逃走。最後は無理やり夫が持ち上げ、じたばたする足を片方ずつおむつにねじこみ、腹まで上げて一段落。じたばた足のせいで、片方入れても片方脱げる、が永遠に続き、降参したくなる。

 朝の着替えに歯磨き、入浴時のシャンプーやドライヤーも同様、全てが「嫌!」らしく、大声で泣いて拒否だ。心が折れる。30年も生きてきたが、どんな対応が「正解」なのかさっぱり分からず、1歳児相手についイラっとしては、自己嫌悪に陥ってしまう。

 そこで子が最大の信頼を置くぬいぐるみの出番。苦し紛れに縫いぐるみに「腹話術」をさせてみたら、なんと素直に言うことを聞いたのだ。アンパンマンやミッキーマウスらに「○○ちゃん、おむつ替えよう!」と言わせると、途端に目を輝かせて従うようになる。彼らに救われて以来、この手法に頼りっきりだ。これが通用しなくなる日が来るのが、今から恐ろしい。

2019年6月15日 無断転載禁止