中朝首脳会談/非核化へ妥協点を探れ

 中国の習近平国家主席は訪問先の平壌(ピョンヤン)で、北朝鮮の金(キム)正(ジョン)恩(ウン)朝鮮労働党委員長と会談、両首脳は中朝の歴史的な友好をアピールし、非核化の実現など朝鮮半島問題の政治解決に向けて共に尽力することで一致した。

 1年前、史上初の米朝首脳会談で始まった非核化協議は暗礁に乗り上げており、中朝首脳は今月末に大阪で行われる米中首脳会談を前に結束を誇示し、トランプ米大統領に交渉の進展を促すメッセージを送った形だ。

 習氏は金氏との会談で、米朝間の調整役を務める意向を強調したが、米朝だけでなく日韓ロなどとも連絡を密にして前向きな役割を果たしてほしい。国際社会の働き掛けによって米朝が真剣に妥協点を探ることを期待したい。

 中国の最高指導者の訪朝は2005年の胡錦濤氏以来14年ぶりで、習氏が12年に共産党総書記に就任後初めて。

 米韓との朝鮮戦争を共に戦った中朝両国はかつて「血で固めた友誼(ゆうぎ)」を有していたが、北朝鮮の核・ミサイル開発で関係が悪化。金氏は昨年3月から4回訪中して習氏と会談を重ね、関係修復を図ってきた。

 対米交渉に臨む金氏は中国という「強い後ろ盾」を求め、習氏には米韓主導の非核化・和平プロセスにもっと深く関与したいとの思惑があり、利害は一致。「25万人の民衆」(金氏)が平壌の沿道で習氏を出迎え、中朝の蜜月を演出した。

 習氏は「今回の会談は友好を固め朝鮮半島問題の政治解決を推進するため」と言明。米朝協議について「国際社会は成果を期待している」と述べ、北朝鮮の体制保証や経済発展のために援助し、各国間の調整役を果たす考えを示した。

 金氏は1年間の協議について「関係国の積極的な反応はなかった」として米国に不満を示す一方、「辛抱強く、双方にとって合理的な解決策を探したい」と述べ、中国の連絡や調整に期待を表明した。

 米朝首脳は初会談で「新たな米朝関係の確立」「朝鮮半島の平和体制構築」を目指すことで合意し、金氏は「完全非核化に向けた努力」を約束した。最終目標は米朝国交樹立、休戦状態の朝鮮戦争終結と平和協定の締結で、国際社会が歓迎するところだった。

 しかし、米国はあくまで完全な非核化を主張。北朝鮮は段階的な非核化と制裁の緩和を求めて対立し、2月の米朝首脳会談は決裂した。北朝鮮は5月、短距離弾道ミサイルを発射して揺さぶりを掛け、米朝はにらみ合いを続けたままだ。

 習氏は20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)の際のトランプ氏との会談で、北朝鮮の本気度を伝えて協議の進展を促すとみられる。何らかの調停案を示すとの見方も出ており、多国間の枠組みによる段階的な非核化の検証や北朝鮮の体制維持の保証、第3回米朝首脳会談の開催を提起する可能性もある。

 中国は03~08年、核問題の6カ国協議(北朝鮮と韓国、米中日ロ)の議長国を務めた。協議は北朝鮮の核開発を阻止できなかったが、中国は経験を生かし、多国間の調整役を務めてほしい。

 国際社会が望む「最終的で完全に検証された非核化」に向けて、北朝鮮も非核化の具体的な道筋を示すべきだ。

2019年6月22日 無断転載禁止