ペンと乳(48) 断乳(上)

大好きなおっぱいに別れ

 「次の3連休で断乳してみる?」。子が1歳半を迎えたある日、夫が提案した。さみしさを理由に先延ばしし続けていた私だったが、翌週に夫と子だけで泊まりで出掛ける予定があったため、ちょうどよいタイミングだと思い、決心した。

 断乳の日。帰宅後、10分間のおっぱいタイムに「今日でおしまいだよ~」と語り掛ける。寝る前の授乳を最後にしようと思っていたが、風呂の湯をためる間に吸わせていたら眠ってしまい、それが最後になってしまった。私も一緒にウトウトし、目覚めたのは真夜中。夫が帰って子を風呂に入れ、そのまま寝かし付けてくれたようで、2人の姿は寝室にあった。寝かし付けの授乳、なくても大丈夫だったんだ…。さみしい気持ちで布団に入った。

 翌朝。目覚めた子どもは無意識に乳を探したが、服をめくり「ぱんぱぁん!(アンパンマン)」と叫んで喜ぶ?様子。実は昨夜、口紅で両乳房にアンパンマンの顔を描き、乳首にはばんそうこうを貼る「仕込み」をしておいたのだ。「パイパイは、アンパンマンになったよ」と伝えると「ふーん」という感じで居間へ移動し、遊び始めた。

 この日は気をそらすため、母と祖母が子を1日外へ連れ出して遊んでくれた。だが帰るとすぐに「パイパイ!」と膝に乗り、服をめくる。その都度、手描きのアンパンマンが顔を出す。ばんそうこうをはがそうともしたが、最後は諦めた。入浴もしばらくは夫が担当し、乳を見せない時間を延ばしていった。夜中は一度起きて泣いたが、温めた牛乳をゴクゴク飲み、眠りについた。

 2日目と3日目は夫の実家へ。たっぷり遊んでもらい、私は別室で過ごす。寝る前「パイパイ…」と泣いたが「パイパイ、ナイナイよ」と言うと、泣きながらも寝ようとする。けなげさに、胸が痛んだ。

 家族のおかげで順調に乳を忘れつつあったわが子。一方、乳がたまり、乳房はボコボコに腫れ上がり始めた。ヒィヒィ言いながら、鉄のような乳を抱えてもだえ苦しんでいた。

2019年6月22日 無断転載禁止