レッツ連歌(要木木純)・6月27日付

(挿絵・Azu)
 見るな見るなは見ろということ

表より面白いのはいつも裏    (松江)岩田 正之

科学者はブラックホールに挑戦し (安来)景山 恒夫

新しいビキニ着ているおばあちゃん(米子)板垣スエ子

 飲み食いはするゴミは拾わぬ

立て札がやたらと目立つ河川敷  (江津)花田 美昭

 やっと終わった大名行列

カルガモが我が物顔で渡る道(熊本・天草)龍石美和子

汗を拭き休む間もなくサイン攻め (出雲)石飛 富夫

 はやりものにはそっぽ向くクセ

大根を買うか買わぬか迷うレジ  (出雲)飯塚猫の子

ケータイを持たずあの世へ行った母(益田)石川アキオ

 今さらあとには引けぬ男気

女房は必死に涙こらえてる    (江津)岡本美津子

かずら橋あと半分で立ち止まり  (松江)田中 堂太

 新商品は名を変えただけ

本当に油断も隙もありゃしない  (出雲)行長 好友

 見られて困るものはあったか

終活の半ばでポックリあの世ゆき (浜田)勝田  艶

お母ちゃんノックしてから入ってよ(松江)植田 延裕

うっかりと逆さに背(し)負(ょ)ったランドセル

                (浜田)三隅  彰

 おまえが悪いぞあんたが悪いわ

鯉のぼり風になびいて泳いでる  (江津)佐野千寿子

本年は金婚式を迎えます     (川本)高砂瀬喜美

客が来て中断したらもう忘れ   (雲南)錦織 博子

パトカーがなんでぴったりついてくる

                (雲南)安部 小春

 DNAは嘘をつかない

お見合いは検査結果を交換し   (松江)持田 高行

 なるようになるものが人生

天国へみんなが行けるわけはなく (松江)相見 哲雄

 頑固親父の雷が落ち

中一は知らぬ存ぜぬ上手なり   (浜田)滝本 洋子

 肝心なときつかえないもの

まかしとけ胸をたたいてうけあって(美郷)源  瞳子

 すべてそだねと受けいれていく

知らぬ間にずいぶん大人になったのね

                (浜田)酒井 由美

印鑑を押す必要のない暮らし   (松江)川津  蛙

手のひらで踊らされても気がつかぬ(雲南)横山 一稔

 祖父が教える義理と人情

ダメよダメそれは振込詐欺だから  米子)佐々木浩子

 へそくり隠すにちょうどよい棚

お互いに知っているのに知らんぷり(益田)可部 章二

 体重減らすことが先決

出席と返事を出した同窓会    (出雲)野村たまえ

 肝心なときつかえないもの

またの名は百の資格を持つ女   (松江)高木 酔子

 今日話したのあなただけです

ウンウンと聞いてくれればそれでいい

                (松江)勝部 政子

    ◇

 千寿子さんの句は、なぜこいのぼりが出てくるの? これ本当に付いているの? と疑問を抱く人もいると思いますが、地上の夫婦げんかに、どこ吹く風とながめているような優美なこいのぼりのイメージがうまく配置されているように私は感じました。このように、一見関わりのないような周りの景色を配することを、連歌では「景気づけ」といいます。前句と付句の奥底に流れる気分を、読者の方で勝手に感じてしまうのです。理屈だけで考えると発想が停滞してしまうので、時には、この方法を試みると面白い付句が飛び出すかもしれません。

 それでは、きょうの入選句を前句にして、七七を付けてください。

 (島根大教授)

2019年6月27日 無断転載禁止

こども新聞